海に関して、関係各国が連携・協調しつつ、各国が有する知識・技能を世界共通のものとしていくため、様々な分野の国際機関が存在します。海上保安庁では、幅広い海上保安業務で得られた様々な知識・技能を活かし、国際社会に貢献するため、これらの国際機関の取組に積極的に参画しています。
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8 海をつなぐ
CHAPTER IV. 国際機関との協調
海に関して、関係各国が連携・協調しつつ、各国が有する知識・技能を世界共通のものとしていくため、様々な分野の国際機関が存在します。海上保安庁では、幅広い海上保安業務で得られた様々な知識・技能を活かし、国際社会に貢献するため、これらの国際機関の取組に積極的に参画しています。 1 国際海事機関(IMO)での取組
IMOは、船舶の安全や船舶からの海洋汚染の防止等の海事問題に関する国際協力を促進するために設立された国連の専門機関で、令和7年3月現在176の国・地域が正式加盟、3地域が準加盟となっています。海上保安庁では、航行の安全及び船舶からの汚染の防止・規制等の観点からIMOに参画しており、令和7年にはIMOの委員会である海上安全委員会(MSC)をはじめとする様々な会議に出席し、国際議論に貢献しました。 2 国際水路機関(IHO)での取組
IHOは、より安全で効率的な航海を実現するため、海図などの水路図誌に係る国際基準の策定や水路測量技術の向上、各国水路当局の協力などを目的として昭和45年に設立された国際機関で、現在103か国・地域が加盟しています。 IHOは、地域的な連携の促進や課題の解決のため、世界の各地域に地域水路委員会を設置しています。海上保安庁は東アジアの地域水路委員会である東アジア水路委員会(EAHC)に昭和46年設立当時から加盟し、常設事務局として50年以上にわたり水路測量や海図作製に係る技術向上や航海安全に取り組んでいます。 また、IHOとユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)は、世界の海底地形名を標準化する「海底地形名小委員会」を共同で設置しています。海上保安庁では、海洋情報部技術・国際課海洋研究室長が同委員会議長を務めており、令和7年には日本提案の海底地形名9件が承認されました。 ![]() 第15回EACH総会の様子 3 国際航路標識機関(IALA)での取組
IALAは、航路標識の改善、船舶交通の安全等を図ることを目的に、昭和32年に国際的な非営利団体である国際航路標識協会として設立されました。令和6年8月の国際航路標識機関条約の発効により国際機関へと移行し、令和8年2月現在46か国が加盟しています。日本は昭和34年に加入、昭和50年からは理事を務めており、令和7年2月に開催された国際機関化後初となる第1回の総会においても25の理事国の内の一つに選出されました。 海上保安庁は、昭和55年に東京で開催したIALA会合において、航路標識の意味・様式等を統一する国際的基準である「IALA海上浮標式」をとりまとめ、近年ではこれまでの船舶間の通信に衛星通信などを取り入れた新たな海上デジタル通信方式の技術開発を率先して進め、関連するワークショップを主催してきました。また、令和5年11月には、国際航路標識機関条約に基づく機関の運営に関するルール案を作成する会合を東京で主催するなど、航路標識分野の国際的なルール作りにおいて主導的な役割を担っています。 ![]() IALA総会の様子 ![]() IALA理事会の様子 4 アジア海賊対策地域協力協定・情報共有センター(ReCAAP−ISC)での取組
アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)とは、我が国の主導で締結されたアジアの海賊・海上武装強盗問題に有効に対処するための地域協力を促進するための協定であり、平成16年11月に採択、平成18年9月に発効されました。(2025年現在の協定締約国:21か国) この協定に基づき、情報共有、協力体制構築のため、平成18年11月、シンガポールに情報共有センター(ISC)が設立されました。設立以来、海上保安庁は、このISCへ職員1名を派遣し、海賊情報の収集・分析・共有及び法執行能力向上支援を積極的に推進しています。令和7年11月には、締約国の海賊対策担当組織幹部等を対象とした会議「Capacity Building Executive Programme(CBEP)」(オンラインで開催)に参画するなど、アジア地域における海賊対策に係る各種取組を推進しています。 5 北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)での取組
NOWPAPは国際連合の機関である国連環境計画(UNEP)提唱のもと、閉鎖水域の海洋汚染の管理及び資源の管理を目的とした地域海計画(RSP)の一つで、北西太平洋地域4か国(日本、韓国、中国及びロシア)により採択されています。海上保安庁は、この計画の中でデータ情報ネットワークに関する地域活動センター(DINRAC)、海洋環境緊急準備・対応に関する地域活動センター(MERRAC)において会合等に参加し、同地域の海洋汚染の防止および海洋環境保全のための取組に積極的に関与・貢献しています。 6 国連薬物・犯罪事務所(UNODC)での取組
UNODC(United Nations Office on Drugs and Crime)は、薬物、犯罪、国際テロの問題に対処することを目的に、平成9年に設立された国連の機関です。UNODCの取組のうち、海上犯罪対策に特化したものがグローバル海上犯罪プログラム(GMCP)です。GMCPは、インド太平洋地域等において、海洋状況把握(MDA)能力強化に関する技術支援等を提供しています。これは、我が国が掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現にも資するものです。 海上保安庁は、GMCPが提供する技術支援の1つであるMDA研修に、令和4年から職員を講師として派遣しています。令和7年度はフィジー、タイ、インドネシアの海上法執行機関に対して海上保安庁のMDAに関する取組事例を交えた研修を実施しました。また、5月にはマレーシアにて東南アジア各国の海上保安機関と宇宙機関対象のMDAに係るワークショップが開催され、海上保安庁とJAXAのMDAに関する取組について説明しました。 令和8年2月には海上保安庁航空機をインドネシアに派遣し、マレーシア、フィリピン、インドネシアの海上保安機関職員に対して、研修フライトを含むMDA 研修を実施しました。 このほか、令和8年から、GMCPに職員を定期的に派遣し、インド太平洋地域に対して、海上犯罪捜査に関する能力向上支援に協力しています。 ![]() MDAワークショップの様子 ![]() MDA研修フライト |