海上保安レポート 2026

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海上交通の安全を守る

8 海をつなぐ


語句説明・索引

特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて > 3 私たちの勤務環境
特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて
特集3 私たちの勤務環境
勤務時間の柔軟化

海上保安庁では、令和7年4月から、職員の業務の効率化及び柔軟な働き方の促進のため既存の勤務形態を見直し、複数の勤務パターンを新たに定めて各職員の業務状況を踏まえた勤務時間の割振りを可能としています。

これにより、陸上組織で勤務する職員や巡視船艇の乗組員についても1日の勤務時間をより柔軟に選択できることとなり、ワークスタイル改革の推進を進めています。

また、フレックスタイム制や、テレワークによる在宅勤務についても積極的に活用することで、海上保安庁の全ての職員が、様々な立場や状況にあっても、やりがいを実感し能力を十分に発揮できるよう、組織及び個々の働き方を改革し、職員個々の公私にわたる充実を図っています。


現場の声

総務部人事課服務係 古山 花恋


古山 花恋

週に3、4回ジムに通っているので、勤務時間の開始を早めたり、テレワークを活用したりすることで、その他の余暇活動の時間に充てています。1日毎に勤務時間を変更することができるので、柔軟な働き方をすることができて効率的です。おかげで仕事もプライベートも充実しています。


ICT教育の活用

海上保安庁では、海上保安能力強化に関する方針に基づき、巡視船や航空機の増強整備や職員数の増加を図っており、これに伴って海上保安大学校や海上保安学校といった教育機関における学生の採用も拡大しています。増加する学生・研修生へ効果的・効率的な教育等を実施するには、ICTを活用できる環境を構築することが必要不可欠であり、令和6年4月、ICT教育を推進するため各教育機関に学術情報センターを設置しました。

ICT教育を推進し、学生・研修生がいつでも教材やオンライン授業に触れられる環境を構築することで、予習・復習がしやすくなるほか、習熟度に応じた個別指導環境を整備し、これまで以上に一人一人にきめ細やかな教育を行うことができるようになりました。

また、教職員が効率的に校務するため、時間割の作成や学生・研修生の成績を一元的に管理できるようにしています。

さらに、海上保安大学校では、SINETという国立情報学研究所が構築した情報通信ネットワークに接続しており、全国の大学・研究機関等と共同研究することや、データを迅速に共有することで、海上保安庁の業務に資する研究等を行うことができる環境も構築しています。

ICT教育

海上保安大学校 
学術情報センター 副センター長
磯ア 裕臣


磯ア 裕臣

多様化する学びをICTで支え、国内外に肩を並べる学術環境を計画的に展開するという使命を胸に、日々励んでいます。今後も教職員や学生・研修生がICTを使いこなせるように寄り添った支援を行い、教育の質を向上させるため奮闘いたします。


海上保安大学校 本科3学年
谷田 暉斗


谷田 暉斗

大学校では、授業における電子資料の配布や課題の提出、実習・訓練での動画の活用といった形でICT教材が導入されています。その結果、資料の充実化や教官からのフィードバックの迅速化がなされ、学習の密度が格段に高まりました。これにより余暇が生まれ、趣味に充てる時間も持て、公私共に充実した学生生活を送っています。

勤務環境改善のための取組

職員一人ひとりがやりがいを実感し、能力を十分に発揮できるよう、オフィスのレイアウト変更や学生寮の改修整備といった庁舎の環境整備を行い、勤務環境の改善にも積極的に取り組んでいます。

オフィス

オフィス

学生寮談話コーナー

学生寮談話コーナー

学生寮喫茶スペース

学生寮喫茶スペース

船員待機室

船員待機室

現場の声

政策評価広報室 海上保安報道官 上原 卓


上原 卓

海上保安庁と国民の皆様を繋ぐ「窓口」である政策評価広報室には、日々、記者やマスコミ関係者の来訪があります。今回、老朽化していたオフィス環境を刷新しました。カーペットの色を明るくし、収納は必要最小限として、V字型のスタイリッシュなデスクを導入するなど、レイアウトを一新。その結果、広い作業空間と余裕のある室内スペースが生まれ、快適性が向上しました。さらに、これまで部屋の奥にあった打ち合わせスペースを入口側に移動することにより、セキュリティ面も改善。記者対応者のデスクも入口側に配置したことで、動線がスムーズになったと記者からも好評です。また、パーティションを取り払ったことにより、職員同士のコミュニケーションがとりやすくなりました。

今回のオフィス改善は、職員の働きやすさの向上とマスコミの皆さんが来訪しやすい環境整備を同時に実現する取組となりました。新しい環境で、海上保安庁の魅力・役割・活動を発信していきます!


ライフワークバランス
家庭と仕事の両立支援制度の利用促進

誰もが能力を発揮し活力ある職場を作るためには、男女を問わず育児・介護を行いながら安心して働き続けられる仕組みが必要です。

海上保安庁では、「Work」の前に「Life」があるという考えのもと、職員一人ひとりの「ライフワークバランス」に取り組んでおり、育児休業や介護休暇をはじめとする各種両立支援制度の活用を推進しています。

また、職員の負担軽減のための時差出勤やフレックスタイム制の活用促進、テレワークを活用した柔軟な働き方の実現への取組などを続けています。加えて人事課からは各種両立支援制度の取得好事例や取得体験記の庁内への発信を積極的に行い、組織全体の理解促進や風土醸成に努めています。

妊娠・出産・育児・介護のために利用できる両立支援制度の一部を紹介します。

妊娠・出産・育児のための両立支援制度
● 育児休業

3歳未満の子を養育するための休業

● 育児短時間勤務

未就学児を養育するため、通常より短い勤務時間で勤務すること

● 育児時間

未就学児を養育するため、1日につき2時間まで又は1年につき10日相当の時間まで勤務しないこと

その他に、育児参加のための休暇、子の看護等休暇、フレックスタイム制、早出遅出出勤、深夜勤務の制限、超過勤務の制限、超過勤務の免除、出生サポート休暇 など

介護のための両立支援制度
● 介護休暇

要介護者の介護を行うための休暇(通算6月。3回まで分割可。)

● 介護時間

要介護者の介護を行うための休暇(連続3年の間に1日2時間まで)

その他に、短期介護休暇、フレックスタイム制、早出遅出出勤、深夜勤務の制限、超過勤務の制限、超過勤務の免除 など


育児休業取得者の声

第四管区海上保安本部
交通部 安全対策課
安全対策第二係長 
原 明日香


原 明日香-1
原 明日香-2

私は1年3か月の育児休業を取得しました。私の夫も海上保安官で、夫婦で特修科を修了し全国を転勤していますが、岩手県で里帰り出産した際は、夫は育児休暇を取得し、生まれたての我が子に触れることができました。私が育児休業をしている間、毎日我が子の成長を見守れる一方、日中の話し相手がおらず、寂しい気持ちもありましたが、職場の同僚から電話がかかってきて近況を聞いてくれたことがとても嬉しかったです。今後、部下や同僚職員が育児休業を取得する際には、快くサポートしていきたいと思います。今は夫婦で第四管区海上保安本部が所在する愛知県で勤務していますが、同僚男性も子の看護休暇を取得するなど、両立支援制度を活用しやすく、お互いに頼り合える良い職場環境です。


育児休業取得者の声

第三管区海上保安本部
羽田特殊救難基地
特殊救難隊 専門員 
松延 慶太


松延 慶太-1
松延 慶太-2

羽田特殊救難基地の救命士として、第三子の誕生時に年次休暇及び特別休暇を組み合わせて、約一ヶ月の育児に伴う休暇を取得しました。代わりのきかない職責ゆえの葛藤もありましたが、今回、上司の快い後押しを受け取得を決意しました。休暇中は家事育児に邁進し、家族との絆と子供の成長を肌で感じる代えがたい時間となりました。過酷な最前線だからこそ互いの家庭を尊重し合うチームの温かさを実感し、今後は私が、後に続く後輩たちのライフワークバランスを全力で支えていきたいと考えています。

輝く!女性海上保安官
女性活躍状況

海上保安庁では、昭和54年から海上保安学校において女子学生の採用を開始し、令和7年4月1日現在、1,467人の女性職員が在籍しており、全職員の約9.9%の割合となっています。海上保安学校長や本庁の室長、海上保安部長、巡視船艇の船長や機関長、パイロット、海上交通センター運用管制官等、さまざまな業務を遂行しています。

女性職員数の推移及び割合

女性職員数の推移及び割合

現場の声

第七管区海上保安本部 長崎海上保安部 巡視船「でじま」
航海士補/潜水士 M地 多実


M地 多実-1 M地 多実-2
海上保安新聞・米田堅持撮影

簡単な経歴

私は福岡県内の高校を卒業後、公務員専門学校に通い、海上保安学校へ入校しました。船舶運航システム課程(航海)で1年間、海上保安業務に必要な船の知識等を学び、卒業後、3年間の船艇勤務、その後、潜水研修を経て、現在は長崎海上保安部「でじま」に乗船しています。

現在の業務

私は、航海科職員及び潜水士として日々業務に励んでいます。普段は、航海士補として船の整備作業や航海当直での見張り、操船等を行っています。これらに加え、潜水士として必要な技能の習得・向上のため、日々、潜水訓練を行っています。

また潜水訓練だけでなく、要救助者を安全に救助するための訓練や救急及び火災船に対応する際に必要な技能等を身に付けるための訓練も実施しています。

海難や海上犯罪の実働時には、潜水士として現場業務に対応しています。潜水士になり、携われる業務が増えたことで様々な経験をすることができています。

大切にしていること

私は潜水士になって約1年半が経ちますが、知識・経験ともに、まだまだ先輩潜水士には及ばないので、苦手なことでも興味を持つように心がけ、日々努力をしています。

上司から「何事も興味を持つことが大事」と教わっており、様々な事柄に対して「何故だろう?」と疑問を持つようにしています。これらを常に意識し、更なる成長を遂げて、各種業務を完遂できるように精進していきます。

女性海上保安官を目指す方へのメッセージ

男性が多い中で勤務をするということに、不安や抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。よく「体力的に男性に劣るのでは…」という声を聞きますが、日々の業務を通してだんだんと体力はついていきます。私は小柄なほうですが、身体的な部分でもマイナスに感じたことはありません。

海上保安庁は、やりたい業務・なりたい職種を性別関係なく応援してくれる職場です。「女性だから」という考えは持たずに、海上保安官として皆様と一緒に働きたいです!

今後の抱負

航海科職員としての目標は、より上級の海技士免許を取得することであり、潜水士としての目標は、現場で活躍する隊員になることです。業務に必要な知識を身に付けて、航海科職員と潜水士の両方の職務で活躍できるよう日々の業務に励んでいきます!


女性活躍推進への取組
研修の実施

職員を対象としたライフワークバランス推進、働き方改革やハラスメントの防止に係る研修を実施しています。

マタニティ服

組織が職員の妊娠を共に喜び、出産・育児休業を取得した後は、職場に戻ってきてほしい! という思いを込めたマタニティ服が妊娠中の女性保安官に愛用されています。

マタニティ服
女性職員の生活空間

女性職員にとって、より魅力的で快適な働きやすい職場空間づくりを目指して、部署のニーズ等に基づき女性施設の整備を進めています。令和7年度は、海上保安学校において、女性用トイレの設備や内装の改修工事を行い、明るく衛生的な最新設備に更新しています。

女性職員の生活空間-1
女性職員の生活空間-2