海上保安レポート 2026

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて

  1. 海と命を支えるプロフェッショナル
  2. 未来を拓く新技術
  3. 私たちの勤務環境
  4. 新しい仲間を求めて

海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海上交通の安全を守る

8 海をつなぐ


語句説明・索引

特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて > 1 海と命を支えるプロフェッショナル
特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて
特集1 海と命を支えるプロフェッショナル

特殊救難隊
岡村 準之輔-1

特殊救難隊は、危険物を積載した船舶火災の消火、沈没船からの救出、ヘリコプターでの吊上げ救助など、高度で専門的な知識・技術を要する全国各地の海難事故に対応します。海外の災害においても国際緊急援助隊として派遣されるなど、国内外を問わず救助活動を行います。


特殊救難隊50周年を迎えて

第三管区海上保安本部 羽田特殊救難基地 隊長
岡村 準之輔


岡村 準之輔-2

「特殊救難隊になりたい!」という思いで海上保安庁に入庁したのが平成20年でした。今では隊長という立場で隊員を指揮し、救助活動にあたっています。隊員が業務に集中できる職場環境づくりを心掛け、高いチームワークのもと、来たる救助現場に備えています。訓練は過酷ですが、「苦しい 疲れた もうやめた では 人の命は救えない」を胸に、助けを待つ方々に手を差し伸べられる仕事です。

今では特殊救難隊の中でベテランといわれる年代になりましたが、まだまだ20代の隊員を圧倒できる体力を維持・向上させられるよう、日々努力しています。

特殊救難隊の活動は、周りの方々のご理解・サポートの上に成り立っています。令和7年には発足50周年を迎えました。今後とも常に感謝の気持ちを胸に、業務に邁進していきますので、引き続き海上保安庁そして特殊救難隊へのご理解と応援をよろしくお願いします。

機動防除隊
森 俊-1

機動防除隊は「海上防災のスペシャリスト」として、海上における油、危険・有害物質の防除及び海上火災の消火を主な任務としています。また、事故関係者に対し的確な指導・助言を行い、事態の早期終息に向け調整することも重要な仕事です。


Always Ready!!

第三管区海上保安本部 横浜機動基地 防除措置官
森 俊


森 俊-2

我々の活動現場は人命救助を終えた「裏方」がほとんどです。しかし、現場には海難事故で流出した油、危険・有害物質や事故船舶が残されており、二次災害の防止や海洋環境の回復を図る必要があります。機動防除隊は自ら火災消火や油防除にあたるだけでなく、専門知識を活かして事故関係者に対し最善な対応方針・体制が確立できるよう調整するなど、責任重大な業務を担います。

また、事故で流出した油、危険・有害物質は複数の沿岸国に影響を及ぼす可能性があり、外国海上保安機関等と合同訓練を行い、知識や技術の指導を通して現場対応能力の向上を支援しています。

昨今、水素やアンモニアなど次世代燃料の使用を見据えた船舶の建造が進んでいます。社会の変革に備えるべく、機動防除隊は想定される新たな海上災害への対応策の検討や調査研究に日々取り組んでいます。探求心を活かして一緒に働いてみませんか?

特別警備隊
特別警備隊

私は「すずか」の主任航海士として、通常の巡視船の業務に加え、特別警備隊として国際イベント等の警備やテロ警戒の任務に従事しています。自分自身の成長だけでなく、若手職員の育成にも気を配りながら、「すずか」の任務遂行を支えています。


本気で挑める仕事がここにある!!

第四管区海上保安本部 尾鷲海上保安部 巡視船「すずか」 主任航海士
上野 隆一郎


上野 隆一郎

最大のやりがいは、「やってみたい」「挑戦したい」という思いを上司が後押ししてくれる職場環境にあります。若手職員が多く、活力にあふれた「すずか」では、互いに意見を出し合いながら任務に取り組むことができ、日々刺激を受けています。特別警備隊として緊張感ある業務は責任も大きいですが、そのぶん操船技術や瞬時の判断力など自身のスキルアップを強く実感できます。ともに成長しながら、チームとして成果を上げられる環境です。

主任航海士は、自身の判断や行動が安全運航に直結するだけでなく、船全体のモチベーションにも影響を及ぼす重要な役割を担っています。その重みを常に意識し、冷静な判断と、最後までやり遂げる姿勢を大切にしています。また、若手職員が安心して能力を発揮することができるよう、円滑なコミュニケーションを心掛けながら、時には背中で示すことも責任の一つだと考えています。

国際捜査官
竹田 悠人-1

国際捜査官の業務は、事件捜査における外国人被疑者の取調べや通訳、証拠資料の翻訳のほか、外国船舶に対する立入検査・海難調査などがあります。また、語学能力が向上すれば、外国との会議や情報交換の場での通訳を任されることもあります。


外国人犯罪の現場第一線!!

第七管区海上保安本部 警備救難課 国際捜査官
竹田 悠人


竹田 悠人-2

事件捜査において、被疑者が犯行を否認することはよくあることです。何日もかけて被疑者のスマートフォン内のデータや自書のメモ用紙など大量の証拠品を翻訳し、こうした証拠をもとに取調べを行います。

犯罪を立証するためには、自身が行う取調べや通訳、翻訳の正確性が極めて重要な要素になります。私は被疑者の出身地の方言にも気を配り、細かいニュアンス等も録取できるように事前準備を行うこと、さらに取調べにおいては矛盾する供述や虚偽と思われる供述をした際に粘り強く追及することを特に大切にしています。

もちろん上手くいくことばかりではありませんが、証拠の点と点が線に繋がり、被疑者から犯行を自認する供述を得られたときは、国際捜査官としての醍醐味を感じます。常に現場第一線に立ち、誇りとこだわりをもって業務に携わることができる国際捜査官を目指してみてはいかがでしょうか。

飛行士
西出 光佑-1

海上保安庁のパイロットとして、海難救助や領海警備、災害対応などに従事しています。特に、ヘリコプターパイロットは一刻を争う現場に急行し、精度の高いホバリング技術で要救助者を吊上げ、道のない洋上で医療機関へ最短時間で結ぶ「命の架け橋」としての役割もあります。


「命の架け橋」として、日本の海を空から守る

第一管区海上保安本部 釧路航空基地 飛行士
西出 光佑


西出 光佑-2

荒れる海や視界の悪い夜間など、過酷な条件でのフライトは常に極度の緊張を強いられます。しかし、クルー全員で力を合わせ、困難なミッションを完遂して要救助者を無事に家族の元へ送り届けられた時の達成感は、何事にも代えがたいものがあります。厳しい訓練を乗り越え、自分たちの技術と判断が誰かの未来を繋ぐ結果になったとき、この仕事を選んで本当によかったと心の底から誇りを感じます。

ヘリはチームで運航します。私はパイロットとして、常に「もし今エンジンが止まったら」と最悪の状況を想定して操縦桿を握っています。整備士、通信士、機動救難士、それぞれのプロフェッショナルが互いに命を預け、全幅の信頼を置いているからこそ、困難な現場でも迷いなく任務に集中できます。

日本の美しい海と空、そして尊い命を守るこの現場で、熱い志を持つ皆さんと一緒に飛べる日を心待ちにしています。

航空通信士
増田 和司-1

航空通信士は、飛行機やヘリコプターに搭乗し、レーダーやカメラを操作して海域の状況を把握するとともに、正確な情報を基地や巡視船に伝達する任務にあたります。また、通信機器の整備や部品の管理など、航空機の安全運航を支える業務も担っています。


航空通信士の仕事とやりがい

第三管区海上保安本部 羽田航空基地 通信士
増田 和司


増田 和司-2

航空通信士と聞くと、最初は想像しにくいかもしれません。航空機に搭乗して情報収集や情報伝達を担当するだけでなく、基地において航空機を支援する通信業務にも従事することもあり、幅広い経験を積むことができます。

フライト中はレーダー監視や撮影、通信対応など同時に多くの業務を行いますが、「正確さ」「分かりやすさ」を大切にしています。通信では、一言の違いが現場の判断を左右することがあるため、情報を整理し、短く簡潔に伝えることを常に意識しています。こうして航空通信士が伝える情報によって、海難救助や領海警備といった海上保安庁の現場業務が迅速に遂行されています。

また、フライト前の機器点検や準備を怠らず、万全な状態で業務に臨むことも重要です。忙しい状況でも冷静さを保ち、機内や基地と連携しながら確実に役割を果たすことが、航空通信士として信頼されるために必要だと考えています。

派遣協力官
嶋本 進一-1

MCT(Mobile Cooperation Team)は、外国海上保安機関に対する能力向上支援の専従部門です。MCTの派遣協力官は、キャリアで培ってきた専門知識を活かしつつ、幅広い分野の支援に耐える知識と技能を習得し、外国海上保安機関職員に対し研修や訓練を行います。


信頼の架け橋 〜自分のキャリアを外国支援に〜

総務部 国際戦略官付 主任派遣協力官
嶋本 進一


嶋本 進一-2

私は50代半ばにして初めて霞が関の本庁勤務となりMCTに配属されました。特殊救難隊をはじめ主に救難に関するキャリアを積んできましたが、MCTでは救難以外にも海上犯罪取締りや船舶安全運航など幅広い分野の支援を行っています。国際法や鑑識、制圧技能など、改めて学び直す日々を送っています。

海外派遣の現場では、未熟な英語ながらも熱意をもって説明すると、参加者は熱心に耳を傾け、意図を的確に理解し、真摯に取り組んでくれます。「国は違えど救難魂は同じだ!」と感じる場面も多く、感動とともに大きな刺激を受けます。

MCTでは外国海上保安機関とともに学び、新たな気づきを得ることで、相互理解を促進し信頼関係を構築していく姿勢を大切にしています。これまで東南アジア各国や太平洋島嶼国への派遣を経験しましたが、今後も明るく前向きに仕事に取り組みたいと考えています。

運用管制官
木 彩羽-1

「海の管制官」は全国7拠点で、船舶が集中する海域の安全を24時間365日守っています。業務として、レーダーやカメラ映像を用いて船舶の動静を把握し、「私自身の声」で必要な情報を提供しながら、海上交通の整理を行っています。


感謝の言葉が支える、海の管制の仕事

第三管区海上保安本部 東京湾海上交通センター 運用管制官付
木 彩羽


木 彩羽-2

私自身の情報提供が船舶の役に立ったと実感できる瞬間が、この仕事の大きなやりがいです。船舶からお礼を言われた時はもちろん、情報提供を受けた船舶同士が「ご協力ありがとうございます」「ご安航を」と交わす爽やかな会話を耳にすると、心が温かくなります。通信が混み合う際に班員をサポートして感謝された時や、自分の作業が評価された時には成長を実感できます。

大きな海難を防ぐことが最も重要ですが、船舶の円滑な運航を支え、日本の海上輸送・経済を守ることも私たちの使命です。海の管制官は働きやすい勤務形態で、体力負担も少なく、海に関わる仕事をしたい人にも最適です。あなたの声で海の安全を支える仕事、してみませんか。

技術官
佐藤 亮太

暗い海で航路を示す灯台の灯りは、航海する人々にとって欠かせない道しるべです。私たち海の技術官は、その光が途切れることのないよう灯台をはじめとする航路標識を整備し、船舶が安全に進める海を支えています。


「光」により海の安全を守ります!!

交通部 整備課 技術官付
佐藤 亮太


金華山灯台

航路標識の工事では、機器の設計から部品の手配、工事の発注や現場の確認まで、限られた予算の中でさまざまな仕事を行います。大変なこともありますが、その分、工事が終わったときや整備した灯りが実際に点いた瞬間には、大きな達成感があります。

灯台は技術の進歩に合わせて進化を続けており、これまで使っていた電球から、明るく長持ちするLEDの光に切り替える工事も進めています。新しい技術を取り入れることで、航路標識がより安定して働き、船の安全にさらに役立つようになります。

受け継いできた技術を大切にしながら、新しい技術も積極的に取り入れ、灯台の光を未来へつなぐことが私たちの役目です。全国にある5,094基の航路標識を守っているのは、私たち海の技術官です。海辺を訪れた際は、ぜひその灯りをご覧ください。

大洋調査官
堀之内 龍一-1

「自律型潜水調査機器(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)」等の高度な技術も駆使しながら、海底地形や地殻構造等の調査を実施し、取得したデータの解析及び資料作成をすることで、航海の安全や日本の海洋権益を守るために必要な海洋情報を収集しています。


米国へ大学院留学! 〜海洋調査のエキスパートを目指して〜

海洋情報部 大洋調査課 大洋調査官
堀之内 龍一


堀之内 龍一-2

私の所属している大洋調査課では、最先端の機器や技術を用いて正確かつ詳細な海洋情報データを集める仕事をしています。

観測機器を正確に運用することで得たデータは海底地形や地殻構造の把握に限らず、航海の安全確保や防災、海洋資源の保全など多方面に役立ちます。その他にも、解析したデータを国内外の学会で発表し、他機関と議論を深めることで、より質の高い海洋調査に貢献しています。

海外で仕事をすることも多いため、私は人材育成の一環で1年間米国の大学院に留学し、海洋に関する専門知識を学びました。大洋調査課では海洋調査やデータ解析を担当しており、留学で得た専門的な知識を実務でも活かしています。

科学的な知見を基に海を支えるこの仕事は大きな意義があり、日本国内だけでなく、国際的にも活躍できるので日々やりがいを感じています。

研究官
齋藤 京太-1

海洋研究室は、自然災害や気候変動、海洋環境・権益の保全等のニーズを受け、国内外の研究機関や大学と連携し、調査機器の開発・高度化や調査結果の分析を行い、その成果を学会で発表するなどし、我が国の海洋施策や人と海のつながりの発展に貢献しています。


未知なる空間「海」の研究 〜人と海のつながりの発展を求めて〜

海洋情報部 技術・国際課 海洋研究室 研究官
齋藤 京太


齋藤 京太-2

研究成果が海上保安庁や我が国の政策に貢献するものかどうかを常に考え、現場の声や社会情勢を考慮した研究テーマの設定を心がけるとともに、自分の強みを生かしつつ、研究を楽しむことを大事にしています。海洋権益の保全にかかる研究では、測量船で採取した海底の泥・砂などの試料を分析し、研究論文を書き上げた時の達成感・充実感が、何物にも代えがたいやりがいです。

新技術が発展し続ける今日、海は依然としてアクセスが困難な「未知の空間」であり続けています。この「未知な空間」に対する調査技術の開発や高度化、それによって得られた調査成果を、海洋に関する新知見とともに研究論文を通じて世界中に発信することは、我が国の国益につながる重要な取り組みです。私たちの研究成果が、海洋施策を通して、人と海のつながりの発展に貢献できるよう、研究を続けていきます。

船舶工務官
上原 健人-1

海上保安庁では、日本各地に巡視船や測量船をはじめ多くの船艇を配備し、多種多様な業務を行っています。これら船艇の建造や維持管理を担当し、故障等による運航への支障が生じないよう、後方から支えているのが船舶工務官です。


目立たなくてもいい。必要とされる人に、私はなりたい。

第十一管区海上保安本部 船舶技術部 技術課 船舶工務官
上原 健人


上原 健人-2

船舶に関する専門的な知識・技術を活用し、船艇の建造や修理を通して海上保安庁の業務を根底から支える仕事に携われることにやりがいを感じています。

早急に修理が必要な故障が発生したときには、自身の知見を基に乗組員による応急作業を支援するとともに、修理業者等との調整も行います。速やかに故障を復旧できるのか不安との闘いですが、「現場と仲間のために」という思いでともに汗をかき、無事修理を完了した時の達成感と乗組員からの「ありがとう」という感謝の言葉は、船舶工務官として頑張ってきてよかったと思える瞬間です。

海上保安業務の遂行のため、船艇には多数の機器が搭載されており、1つでも欠けるとその役割を十分に果たすことができません。24時間365日現場第一線で活躍する海上保安官を、縁の下の力持ちとして支える船舶工務官の業務に興味を持たれたあなた、ぜひともに働きませんか?

図誌編集官*1
浅野 普一

各地で行った調査などで得られた海洋情報を、国際的に決められた記号や表現方法に基づき編集し、船舶が安全かつ効率的に航海するために不可欠な海図や、海図を最新の状態に維持するための補正図などを作製しています。


航海安全の一翼を担う「レア」な仕事

海洋情報部 航海情報課*2 主任図誌編集官*3
浅野 普一


等深線編集

海図の編集は航海の安全を支えるという重要な役割を担っています。日本で海図を作製しているのは海上保安庁だけ、「ちょっとレアで面白い」仕事です。

海図は航海の安全に直結するものです。だからこそ細部まで妥協せず確認を重ねる姿勢が欠かせません。「必要な情報が漏れていないか?」「この表現方法で良いか?」「利用者に誤解を与えないか?」など、常に考えながら編集を行います。一つの判断ミスが航海の安全に重大な影響を及ぼすという意識を持ち、丁寧な仕事を心掛けています。

地道で細かな作業ですが、必要な情報を取捨選択し、その情報をどのように海図に反映させると使いやすい図になるかを考えて、そのイメージどおりに編集できた時、またその海図が実際に航海に利用され、人やモノのみならず経済を動かすために役立っていると感じられた時、仕事が現実とつながる楽しさ、大きな達成感を感じます。

*1 取材当時は「海洋情報編集官」

*2 取材当時は情報利用推進課

*3 取材当時は主任海洋情報編集官

システム技術官
賀 怜

システム技術官(通称:シス技官)は、通信科職員が配置されていない巡視艇の無線設備や陸上の無線通信施設の保守点検や無線検査に対応するなど、当庁の無線通信を支える“縁の下の力持ち”です。時にはドローン等による映像伝送業務にも対応します。


山上?海上!保安官 〜縁の下のハイパーレディオエンジニア〜

第三管区海上保安本部 総務部 情報通信課 システム技術官 
賀 怜


システム技術官

一般的に、陸から離れた海上では携帯電話の電波は届きませんが、海上保安庁の通信所や巡視船艇は多様な無線設備を使用して、海上の一般船舶と無線連絡を取ることができる体制を構築しています。これら無線設備を保守するとともに、法令に基づく検査を担うシス技官は、現場最前線で働く海上保安官の業務を支え、間接的に海の安全を守ることに貢献している、やりがいある仕事です。

また、海上保安官と聞くと、海や船をイメージされると思いますが、シス技官は陸上通信施設、時には山の中にある無線通信施設に車で行く、“山上保安官”に変身します。道中、雄大な大自然が待ち受けていることもあり、積雪や倒木、時には鹿や猪に行く手を阻まれることも…

通信施設の保守に果敢に挑み向かう山上?海上!保安官として一緒に仕事をしてみたい方、無線通信に興味がある方、是非“システム技術官”を目指してみませんか?

サイバーセキュリティ対策官
サイバーセキュリティ対策官

海上保安業務を支えるシステムを監視しつつ、不審通信のブロックやWEBサイトの安全性確認、海上保安庁内で発生するサイバーセキュリティ事案の対応等を交替制で担当します。また、最新のサイバーセキュリティ動向について情報収集することも重要な仕事です。


サイバー攻撃から組織を守る最後の砦としての重圧とやりがい

総務部 サイバーセキュリティ戦略官 サイバーセキュリティ対策官
鎌田 真布美


鎌田 真布美

サイバー攻撃による海上保安庁の情報通信システムのダウンや業務関連情報の窃取は、海上保安業務の停滞を招き、国民の安全安心を脅かすことになります。

そのため、サイバー攻撃の未然防止や被害の最小化、再発防止を図ることで、陸上部署、船艇、航空機といった多様な環境で様々な業務にあたる海上保安庁職員をサイバーセキュリティの分野で支えることが私たちの仕事です。

発生する事案は状況や背景が様々で、対処手法や必要な対策はその都度変わりますので、広く深く情報収集をし、かつ、迅速丁寧な対応が求められます。苦労もありますが、地道な監視、情報収集の積み重ねにより海上保安業務を継続させることができ、それが国民の「当たり前」を守ることに繋がります。

*取材当時は「情報通信課 サイバー対策室」

システム解析調査官
和泉 后紀-1

海上保安業務に欠かせない情報伝達システムの整備を担当しています。庁内の各課から意見を集めて整備の方向性を調整し、仕様の検討を進めながら、実際に構築を行う請負業者の皆さまの進捗管理も行っています。


現場を支えるシステムづくりという「縁の下の力」

総務部 情報通信課 システム整備室 システム解析調査官
和泉 后紀


和泉 后紀-2

大規模なシステム改修作業を担当し、新機能をリリースした際、「使いやすくなった」という声をいただけるのは大きな励みです。一方で、従来の操作から変わることに戸惑う職員も多く、分かりやすい周知方法を工夫する必要があり課題です。

IT技術は日々進化しており、新たな機能を取り入れれば業務効率を高められます。しかし同時に、当庁のセキュリティーポリシーに適合するか、情報漏洩や外部攻撃を防げるかといった視点から、安全性と利便性の両立を慎重に判断しています。

海上保安庁には、表舞台で活躍する部署だけでなく、見えないところで組織全体を支える仕事も多くあります。私はその「縁の下の力持ち」として、確実な情報基盤を整え、現場が安心して力を発揮できる環境をつくることに強い意義と誇りを感じています。

犯罪情報技術解析官
渡部 歩美-1

犯罪情報技術解析官は、管区本部の総務部情報通信課に所属し、デジタル・フォレンジック業務担当職員として、犯罪捜査の支援のため、航海計器、携帯電話、パソコン等の電子機器に残された電磁的記録の抽出及び解析を実施しています。


事件捜査を陰で支える

第二管区海上保安本部 総務部 情報通信課 犯罪情報技術解析官
渡部 歩美


渡部 歩美-2

犯罪情報技術解析官は、電磁的記録という人が直接認識できないものから試行錯誤し、必要なデータの抽出、解析を行う業務です。

業務を行う上で大切なことは、「手続きの正当性」「解析の正確性」「第三者検証性」の三要素の基本を守り、仲間とコミュニケーションをとりながら、ダブルチェック、トリプルチェックを重ね、電磁的記録から得れる情報の証拠としての価値を引き出すことです。

海上保安庁といえば、巡視船での勤務や、海難救助、事件捜査等を想像される方が大半かと思いますが、実際に犯罪情報技術解析官を経験し、その重要性と魅力に気づくことができました。

犯罪情報技術解析官は決して目立つ業務ではありませんが、専門性が高く、「事件捜査を陰で支えている」という実感を得られる仕事ですので、皆さんも犯罪情報技術解析官の世界に沼ってみませんか。

試験研究官
市川 愛-1

薬物の密輸や故意の油流出をはじめとした、海上犯罪での捜査において押収、採取した証拠物などを科学的に分析・鑑定するとともに、海上保安業務で使用する機器や資材に関する調査・研究を行い海上保安庁の現場業務を技術面から支えています。


分析・鑑定で海を守る、試験研究官というプロフェッショナル

総務部 海上保安試験研究センター 試験研究官
市川 愛


市川 愛-2

東京都立川市の立川広域防災基地の一角にある「海上保安試験研究センター」が私たちの職場です。試験研究官は、一般の海上保安官が行っている業務をさらに発展深化させつつ、分析・鑑定といった専門性の高いニーズに的確に対応するために、年間を通じて様々な研修に参加し、最新の知識や高度な技術を習得しながらキャリアアップを目指せる仕事です。塗膜片や違法薬物、水や油の分析、海に没した機器等のデータ抽出や解析など幅広い鑑定・分析を担当しています。さらに、その専門的知識を日本の海上保安庁だけでなく、海外の海上保安機関に対する技術支援や情報交換を通じて国際的な貢献ができることも私たちの大きな誇りになっています。自らの研究成果が現場で活かされ、海上の安全を守る使命を果たす達成感を味わえることが、この仕事の最大のやりがいです。

航海科職員
𠮷原 渉

航海科職員は、操船や航海計画の立案を担当します。「しもきた」には潜水士が乗船し、一般的な巡視船の業務に加え、海難救助に特化した業務が期待されています。私は潜水士ではありませんが、船の運航だけでなく潜水訓練や救難訓練の指揮・立案に従事します。


あなたの力を海上保安庁に

第二管区海上保安本部 八戸海上保安部 巡視船「しもきた」 主任航海士
𠮷原 渉


航海科職員

「公務員として国民のために仕事をすること」、「傲慢さは学びの機会と仲間を減らすもの。少しでも謙虚に仕事をすること」、この二つを大切にしています。潜水士の活動や訓練を間近に見て、人命救助の最前線にいることを実感するとともに、その活動に直接・間接を問わず携わることで、責任感とやりがいを感じます。

私は、大卒でも海上保安官になることができる海上保安大学校初任科に入学し、卒業後、現場に配属されました。海上保安庁には多様な業務があり、その範囲は海の警察・消防にとどまりません。様々な職種を経験しながら自分のやりたいことを発見することができます。それが人のために役に立っていることを考えると、一層やりがいを感じます。

海上保安庁に求められる業務は重要性を増しており、様々なバックグラウンドを持つ人材が求められています。ぜひ、一緒に働きましょう。

通信科職員
潜水訓練

通信科職員は、無線通信設備や情報ネットワークに関する運用・保守を担当します。「はりみず」には潜水士が在籍しており、私は潜水班長として最前線での救助活動を総括しています。また、制圧指導官として不審者や容疑者の取り押さえ方の指導をしています。


チームで果たす達成感

第十一管区海上保安本部 宮古島海上保安部 巡視船「はりみず」 主任通信士
岸田 知也


無線検査

地上の電波が繋がらない海上では、無線機と衛星通信が命綱です。普段日の目を浴びることはありませんが、精確な整備、より良いネットワーク構築が、緊急時の迅速な対応に繋がります。また、私は潜水班長として創造力・実行力・団結力を大切に、「はりみず」One Teamとして訓練に励んでいます。その成果は単純な足し算ではなく、各人の役割と互いの信頼を掛け合わせた団結力です。One Teamとして任務を完遂できたときの達成感は、海上保安庁唯一無二のやりがいだと思います。

20代の頃、周りに超人のような先輩後輩がたくさんいる中、私の恩師は常に「それが自分のベストか」と問うて来ました。当初は辛かったですが、自分のベストを尽くしたとき、必ず先輩後輩が助けてくれました。以来、「自分のベストを尽くす」をモットーに、反省と成功を繰り返しながら、人との繋がりを大切に、家族のために仕事に取り組んでいます。

航空科職員
橋 夏子

ヘリコプター搭載型巡視船の航空整備士は、搭載機の整備はもちろん、実際に飛び立つ機体に搭乗して任務に参加します。機体の状態を確認しつつ、上空からの写真撮影や警戒監視、機動救難士と連携した要救助者の吊上げ救助など、業務は多岐にわたります。


空から海を守る

第一管区海上保安本部 函館海上保安部 巡視船「つがる」 整備士
橋 夏子


航空科職員

「人の命を預かっている」ということを常に意識して業務にあたっています。ヘリコプターを運用するクルーの命、地上支援者の命、救助される方々の命、航空業務には様々な命が関わります。その命を守るためにもヘリコプターの安全を確保し事故を未然に防ぐという責任感を強く持ち、整備や任務に臨んでいます。また、航空整備士は吊上げ救助の際に救難士と要救助者を吊上げるケーブルを操作する「ホイストマン」の役割もあり、海難現場の第一線で救助活動に携わることができます。

航空整備士になるためにはたくさんの知識と経験が必要で、勉強が苦手な私は資格取得に苦労しましたが、その分業務を通じて得られるやりがいや達成感が大きく、次の整備も頑張るぞ!という意欲につながります。海上保安庁というと「海」のイメージが強いと思いますが、海の上の「空」も私たちが活躍する舞台の一つです。

機関科職員
五嶋 大樹

機関科職員は、主機や発電機など「船の心臓部」の管理を担います。「いつくしま」は海上保安大学校の練習船であり、教官として、実習生への機関科教育や、日々の生活、訓練の指導に加え、国内外における寄港に伴う調整業務などにあたります。


次世代を担う機関士とともに、船の未来を支え抜く

第六管区海上保安本部 呉海上保安部 巡視船「いつくしま」 首席機関士
五嶋 大樹


機関科職員

船が安全に航海するための基盤を支える。それが私たち機関士の役割です。どれほど優れた航海計画も、日々の丁寧な整備なくしては成し得ません。

この「船の心臓部」を守り続けるための知恵や知識を、次世代へ繋ぐことに私は大きなやりがいを感じています。指導にあたっては、実務における基礎の習得はもちろん、訓練や船内生活の一つひとつの所作に「なぜそれが必要なのか」という本質の理解を促すよう心掛けています。

当初は戸惑っていた実習生が、理解を深め、自らの判断で機器を扱えるようになっていく姿に、教育の重みとこの仕事の意義を再確認します。海上保安庁の仕事は厳格なイメージがあるかもしれませんが、現場は常に周囲と支え合い、深い絆を感じられる場所です。

ともに学び、楽しみながら成長を重ね、将来、船の未来を支える担い手となる仲間を待っています。

主計科職員
主計科職員-1

主計科職員は、船内での調理や食材の調達に加え、乗組員の庶務や制服の管理、船内の物品管理などを担当します。また、他科職員と同じく海上保安官として犯罪取締りや海難救助の任務に参加するため、捜査や訓練を含め幅広い業務に携わります。


美味しい料理で乗組員を笑顔に

第十一管区海上保安本部 石垣海上保安部 巡視船「たらま」 主計士補
我如古 あんり


主計科職員-2

大きく揺れる船内で調理を行うのは重労働ですが、乗組員から「美味しかった!ありがとう!」と言ってもらえたり、嬉しそうにおかわりしている姿を見た時に、1番のやりがいを感じます。「たらま」では数日もの間海上で過ごすことがあり、乗組員にとっては食事が1番の楽しみになります。美味しい料理を提供するのはもちろんのこと、栄養バランス、また季節やイベント(クリスマスなど)に合わせた料理を提供することを大切にし、料理で乗組員を少しでも元気づけることを意識しています。

航海後は休暇もしっかり確保できるため、友人との時間やプライベートを充実させ、仕事のモチベーションをアップすることも日々大切にしています。海上保安庁は業務の幅が広く、男女問わず色々な場面で活躍できる場があります。一緒に現場で働く日を楽しみに待っています。

観測科職員
河野 晴

測量船の観測士は、海底地形、海流・潮流、海洋汚染といった様々な海洋調査を実施します。「平洋」は自律型潜水調査機器(AUV)を搭載しており、高度な専門知識・技術を用いてこうした特殊な観測機器を整備し、試運転を経て調査海域に投入します。


私の観測データが、この広い海を守っている。

海洋情報部 測量船「平洋」 観測士補
河野 晴


観測科職員

海洋情報部の測量船は、海を「正確な情報」で支える重要な役割を担っています。私たちの仕事は、観測や解析を通じて得たデータを航行安全や防災、海洋研究へとつなげる、現場と社会を結ぶ基盤です。地道で目立たない業務も多いですが、一つの数値、一枚の海図が多くの命と活動を支えています。観測データの正確性を最優先し細部まで妥協しない姿勢を大切に、探求心と責任感を持ち、海を守る担い手として仕事をしています。

私は、知らない海を調査したいという思いから海上保安学校海洋科学課程に入学しました。海上という厳しい環境での観測業務には「安全第一」の判断とチームワークが不可欠です。海洋権益確保に貢献する海洋調査を遂行するため、観測の目的を理解し、機器やデータの異常に気づく力を養うとともに、技術の進歩に対応するべく学び続ける姿勢を大切にしています。