海上保安レポート 2026

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海上交通の安全を守る

8 海をつなぐ


語句説明・索引

2 治安の確保 > CHAPTER IV. 密輸・密航対策
2 治安の確保
CHAPTER IV. 密輸・密航対策

海上からの密輸については、依然として、一度に大量の薬物を密輸する事犯が相次いで発生しており、その手口は、海上貨物への隠匿や小型船舶を利用した瀬取りによるもので、大口化、巧妙化の傾向が続いています。

また、船舶を利用した密航については、かつて多発したような密航用に仕立てた船舶ではなく、船員や訪日クルーズ船の乗客が上陸後行方をくらますといった態様が多く、小口化の傾向が続いています。

特に密輸事犯は、海上貨物を利用した密輸としては統計史上最大の押収量となった大麻密輸入事件、パラサイト型によるコカイン密輸入事件など複数の密輸事犯を摘発し、2年連続で1トンを超える薬物を押収しました。

海上保安庁では、関係機関と連携し、我が国の治安及び法秩序を乱す密輸・密航事犯を厳格に取締り、密輸・密航の水際阻止を図っています。

※パラサイト型密輸:出発港から到着港の間で、船舶の船底海水取り入れ口等の水面下に薬物を隠匿し、これを回収する手法。我が国においてはこれまで2例が確認されている。

令和7年の現況
密輸事犯について

令和7年の薬物事犯の摘発件数は12件で、押収量は覚醒剤約4.62kg(末端密売価格約2.6億円相当)、大麻約1046.88kg(末端密売価格約52億円相当)、麻薬(コカイン)約19.96kg(末端価格約4.7億円相当)、麻薬(ケタミン)約7.48gでした。

海上保安庁が摘発した薬物密輸入事犯のほとんどは、外国人による犯行であることが確認されており、海外犯罪組織の関与も疑われています。

これら外国人による薬物密輸は、SNS等のサイバー空間を経由して海外の犯罪組織から指示を受けた互いに面識のない、いわゆる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と推定されているほか、一度に大量の薬物を密輸する海上貨物への隠匿による手法、瀬取りによる手法や、パラサイト型密輸と称される巧妙な手法など、密輸手口の大口・巧妙化の傾向が益々高まっており、これらの犯罪形態への対策が求められています。

薬物事犯の摘発状況

薬物事犯の摘発状況

銃器事犯の摘発状況

銃器事犯の摘発状況

金地金の摘発状況

金地金の摘発状況

最近の主な密輸事犯摘発状況

最近の主な密輸事犯摘発状況
密航事犯について

令和7年における密航事犯の摘発件数は2件であり、不正上陸者1名、不法上陸者1名を摘発しました。

近年の船舶を利用した密航は小口化の傾向が続いており、昨年はパナマ共和国籍貨物船のベトナム人船員が不正上陸した事案とリベリア船籍クルーズ船のモンゴル人乗客が不法上陸した事案を摘発しています。

海上保安庁では、外国から入港する船舶に対する立入検査のみならず、港湾の監視・警戒、国内外関係機関との連携及び情報収集活動を行うことにより、不法上陸等の防止を図るとともに、犯罪インフラ事犯の取締りにも重点を置いています。

*犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のこと。外国人に係る犯罪インフラ事犯には、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造、偽造在留カード所持等が挙げられる。

船舶を利用した密航事犯の摘発状況

船舶を利用した密航事犯の摘発状況

船舶を利用した密航者(国籍別)の摘発状況

船舶を利用した密航者(国籍別)の摘発状況
今後の取組

海上保安庁では、引き続き、国際組織犯罪対策基地を中心に国内外の関係機関との連携を強化しつつ、海事・漁業関係者等からの情報収集を行うとともに、その分析活動に努め、密輸・密航が行われる可能性が高い海域において、巡視船艇・航空機による重点的な監視・警戒を実施し、密輸・密航の蓋然性が高い地域から来航する船舶に対しても、重点的な立入検査や密輸・密航防止に係る啓発活動を実施し、密輸・密航の水際阻止に努めていきます。