海上保安レポート 2026

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

7 海上交通の安全を守る

8 海をつなぐ


語句説明・索引

7 海上交通の安全を守る > CHAPTER III. マリンレジャー等の安全対策
7 海上交通の安全を守る
CHAPTER III. マリンレジャー等の安全対策

海上保安庁では、船舶の運航及びマリンレジャー等の沿岸海域における活動に伴う事故の減少を目指しています。特に、船舶事故の約5割を占めるプレジャーボートの事故や、遊泳、釣り、SUP(スタンドアップパドルボード)等のマリンレジャー中の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。

令和7年の現況
1 海難防止活動

海難を防止するためには、船舶操縦者やマリンレジャー愛好者の安全意識の向上を図ることが重要です。このため、海上保安庁では、小型船安全協会等の関係団体と連携し、漁港やマリーナ等における訪船指導や海難防止講習会、小中学生を対象とした海上安全教室の開催、リーフレットの配布やSNS等を活用した情報発信を行っています。

また、マリンレジャーの事故防止情報をまとめた総合安全情報サイト「ウォーターセーフティガイド」を開設し、モーターボート、遊泳、釣り等の8つのアクティビティについて公開しており、令和7年には関係団体との意見交換を経て釣り編を更新しました。また、更新した内容を広く周知すべく、釣り業界団体と連携し、SNS等で発信したほか、政府広報室と連携し安全啓発動画を作成しました。

政府広報室と連携した安全啓発動画

政府広報室と連携した安全啓発動画

ウォーターセーフティガイド釣り編の更新

ウォーターセーフティガイド釣り編の更新

近年、多様化・活発化しているマリンレジャーの事故を防止するためには、海上保安官が各マリンレジャーの特性や潜在的リスクについて理解し、愛好者の目線に立った海難防止活動を行うことが重要です。このため、全国から選抜された海上保安官を招集し、各マリンレジャーの専門家を講師として効果的な指導法を習得する「マリンレジャー海難防止指導官養成研修」を実施しています。研修修了後、“マリンレジャー海難防止指導官”として、現場の海上保安官に研修を行い、海難防止活動における組織全体の能力向上を図っています。

また、近年、外国人のマリンレジャーに伴う海浜事故が急増し、令和7年の事故者数は50人で高止まりの状態となっているため、外国人に対する安全対策が喫緊の課題となっています。そこで、ウォーターセーフティガイドの要点をまとめた外国語リーフレットを、各国駐日大使館等と連携して12言語で作成しました。同リーフレットをフェリーターミナルや海水浴場等において外国人観光客へ配布したほか、SNSやテレビ等のメディアを通じた発信、出入国在留管理庁、外国人技能実習機構や日本政府観光局を通じた周知を実施しました。

マリンレジャー海難防止指導官養成研修

マリンレジャー海難防止指導官養成研修

新たに作成した外国語リーフレット

新たに作成した外国語リーフレット

訪日客への安全啓発活動

訪日客への安全啓発活動

また、全国で発生している海難には地域毎の特性があることから、各地域の情勢に応じた啓発活動を柔軟に実施するほか、全国的にマリンレジャー活動が活発となる夏季には、「海の事故ゼロキャンペーン」を実施し、官民の関係者が一体となって海難の未然防止を図るなど、効率的かつ効果的な啓発活動を行っています。

2 海上安全指導員

プレジャーボートによる事故を防止するためには、海上保安庁のみならず、マリンレジャー愛好者が自助、共助の考えに基づく対応をとることが重要です。

海上保安庁では、昭和49年から、プレジャーボートの安全運航のため、指導・啓発等の安全活動を積極的に行っている方々を「海上安全指導員」として指定しており、全国で約1,400名(令和7年12月末時点)の海上安全指導員が、安全パトロール艇を用いた洋上におけるプレジャーボート乗船者等に対する安全指導、マリーナ等における訪船指導及びプレジャーボートに関係した海難防止思想の普及啓発などの活動を行っています。

海上安全指導員が安全啓発活動時に用いるグッズ
海上安全指導員との合同パトロール状況

海上安全指導員との合同パトロール状況

3 「海の安全情報」の提供

海上保安庁では、海難を防止することを目的として、プレジャーボートや漁船等の操縦者、海水浴や釣り等のマリンレジャー愛好者等に対して、全国各地の132箇所の灯台等で観測した気象現況(風向、風速、気圧及び波高)、気象庁が発表する気象警報・注意報、海上模様が把握できるライブカメラ映像、ミサイル発射や港内における避難勧告等に関する緊急情報、海上工事や海上行事等に関する海上安全情報等を「海の安全情報」としてパソコンやスマートフォンで提供しています。

また、緊急情報、気象警報・注意報及び気象現況については、事前に登録されたメールアドレスに配信するサービスを提供しています。

*気象現況の観測項目は、観測箇所によって異なります。

海の安全情報

海の安全情報
今後の取組
ウォーターセーフティガイドの充実強化

ウォーターセーフティガイドについては、平成30年4月から運用を開始していますが、近年のマリンレジャーの活発化・多様化や社会情勢の変化に対応するため、定期的に関係団体や関係機関、海の安全推進アドバイザーと意見交換会や掲載内容の見直しを行い、利用者の皆様に有意義な情報発信を行います。また、近年の外国人のマリンレジャーに伴う海浜事故の急増を受けて、令和8年3月にはウォーターセーフティガイドの英語版の運用を開始しました。

*海上保安庁がマリンレジャーの安全対策を推進するために助言等を求める技術的・専門的な知見を有する者。

安全啓発に取り組むマリンレジャー愛好者、団体等との協働

マリンレジャーに対する安全啓発活動については、関係省庁や地方公共団体などの関係機関にとどまらず、マリンレジャー愛好者や愛好者団体などの協力を得て、SNS等を活用した安全情報の発信や、イベント等における注意喚起を実施するなど、自発的な安全の呼びかけが行われる体制の構築を進め、海難防止活動の更なる裾野の拡大を図ります。

地域特性に応じた柔軟な海難防止活動

海難の発生状況やマリンレジャーの活動状況は地域によって特性が異なることから、各地域の実情を十分に踏まえ、地域特性に応じた安全啓発を柔軟に実施することで、効率的かつ効果的な海難防止活動の推進を図ります。