海上保安レポート 2026

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 生命を救う

2 治安の確保

3 領海・EEZを守る

4 青い海を守る

5 災害に備える

6 海を知る

CHAPTER I. 海洋調査
CHAPTER II. 海洋情報の管理・提供

7 海上交通の安全を守る

8 海をつなぐ


語句説明・索引

6 海を知る > CHAPTER II. 海洋情報の管理・提供
6 海を知る
CHAPTER II. 海洋情報の管理・提供

海洋は、海運や水産業、資源開発、マリンレジャー等、様々な目的で利用されており、それぞれの目的によって必要となる情報が異なります。海上保安庁では、海洋調査により得られた多くの海洋情報を基に、それぞれの目的に合わせ、ユーザーが利用しやすい形での情報提供に努めています。

航海安全のための情報提供
1 航海用海図・電子海図

海図は、海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)で定められた、船舶が備えるべき設備の一つです。我が国でも船舶設備規程で「遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行区域とする船舶には、航行する海域及び港湾の海図その他予定された航海に必要な航海用刊行物を備えなければならない」と定められています。

海図には、海洋調査で得た水深などの情報に加え、各海域・港湾の航路・航法などの航行安全情報、航海の目標となる岬などの海岸地形や海岸の構造物、灯台などの航路標識の配置などを、国際的に決められた記号や表現方法により編集し、掲載しています。令和7年には海図(改版12図)を刊行しました。

海図編集の様子
海図編集の様子
海図
海図
2 水路書誌

水路書誌は、海図とともに使用する航海の安全を支える情報誌で、海図に表現できない航路、航法、港湾施設等の情報を掲載しています。例えば、沿岸及び港湾の地形・施設などの詳細な情報や航空機による斜め写真が掲載されており、海図と併用し、相互に掲載内容を補完することにより、安全に航海することができます。令和7年には水路書誌(新刊1冊、改版4冊)を刊行しました。

水路書誌
水路書誌

水路図誌等の種類と刊行版数(令和7年末現在)

水路図誌等の種類と刊行版数(令和7年末現在)
3 水路通報・航行警報

海上における人命の安全に関する国際条約(SOLAS条約)の規定に基づき、船舶交通の安全のために必要な情報を「水路通報」及び「航行警報」により提供しています。

水路通報は、水路図誌を最新の状態を維持するための情報、船舶交通の安全に関する情報等をインターネットで提供しています。

航行警報は、海上演習、航路標識の異常等、船舶交通の安全のため緊急に周知すべき情報を海域別に、通信衛星、無線、インターネット等で提供しています。

これらの情報は、利用者が視覚的に容易にその海域を把握できるよう、ビジュアル情報としてもインターネットで提供しています(スマートフォンでも利用可)。

水路通報・航行警報の概念図

水路通報・航行警報の概念図

水路通報・航行警報の種類と提供範囲

水路通報・航行警報の種類と提供範囲
水路通報
水路通報
航行警報
航行警報

水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ

水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ
船舶交通安全情報(水路通報・航行警報) https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/tuho2.html
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水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/vpage/visualpage.html
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水路通報・航行警報位置図ビジュアルページ(スマートフォン向け) https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/vpage/mobile/visualpage.html
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海洋状況把握(MDA)への貢献

海上保安庁では海洋情報を集約・共有するための情報サービス「海洋状況表示システム(海しる)」を運用しています。「海しる」では、関係省庁・機関等が保有する海洋情報をオンラインの地図上で重ね合わせて表示することができ、海上安全、海洋環境保全、海洋産業振興、海洋科学発展、自然災害対策等様々な目的でご利用いただけます。

こうした幅広い活用に向けて情報の更新や新規掲載に取り組んでおり、令和7年には「海しる」に海面水温・塩分の予測値や全国の漁業に関する調査結果等多様な分野の情報を新たに掲載しました。

加えて、「海しる」の掲載情報を見るだけではなく使うことができるよう「海しるAPI」の提供をしております。これらの取組を通じて、海洋情報のさらなる利活用を促進しています。

海洋状況把握(MDA)への貢献
● 海洋状況表示システム(海しる) https://www.msil.go.jp/
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海洋DXの推進
海洋DXの推進(S-100)

近年、世界中でDX化が著しく進んでおり、海洋分野も例外ではありません。このような海洋のDX化に係る取組は、海上保安庁に留まるものではなく、関係行政機関・産業界にも大きく関わります。例えば、内航船業界では船員の高齢化・船員不足の問題が深刻と言われています。この問題に対し、(一財)日本船舶技術研究協会を中心に50を超える産官学の団体が、日本財団の助成により船舶海洋分野の無人化・省人化に資するダイナミックマップ(自動運航に資する静的・動的な情報サービス)の研究開発を進めており、海上保安庁の航海情報には高い需要があります。令和6年度から、同協会の「船舶ダイナミックマップに用いる次世代航海情報の利活用に関する連絡会」に海上保安庁職員も参加し、議論を重ねています。

現在、船舶で使用する海図は、操舵室に備え付けられた装置(電子海図情報表示装置:ECDIS)で表示する電子海図が一般的です。ECDISにはレーダー映像の重ね合わせなど様々な機能があり、乗組員の業務を軽減し、航海の安全性や効率性を高めることができます。海図の世界的な統一を図るために設立された国際水路機関(IHO)では、海洋のDX化を見据えて、次世代の航海情報の規格である「S-100シリーズ」の開発を進めており、「S-100シリーズ」が社会実装されれば、航海の安全性や効率性がさらに向上します。

次世代航海情報連絡会
今後の取組

世界をつなぐ海を安全に航海するためには、海図をはじめとする航海情報が必要不可欠です。海上保安庁では、最先端の海洋調査技術に基づく正確な海図を作製するだけでなく、海図等の国際基準の策定に関する取組にも参画し、国内関係機関や団体と協力して、海洋DXの推進を着実に進めてまいります。