2 二国間連携・協力による海上の治安確保
平成10年11月に小渕総理大臣(当時)とエリツィン・ロシア大統領(当時)により署名された「日本国とロシア連邦の間の創造的パートナーシップ構築に関するモスクワ宣言」に基づき、ロシア連邦国境警備庁との協力関係を強化するため、平成12年9月、東京において、両長官署名による「日本国海上保安庁とロシア連邦国境警備庁との間の協力の発展の基盤に関する覚書」を交わしました。
これにより、
について、今後継続した協力関係の構築に努めることとなりました。
これを踏まえ、同年9月、両庁間の協力関係をより一層強固なものにするため、海上保安庁長官がロシア連邦国境警備庁を訪問して同庁幹部との意見交換を行ったほか、同年11月にはウラジオストクにおいて、また、12月には東京において、それぞれ専門家会合を開催し、我が国の領域及びロシア連邦の領域に接続する海域内における水産物の不法捕獲及び不法取引の取締りに係わる協力に関して活発な情報交換を行いました。
平成13年8月には巡視船がロシアを訪問し合同訓練を実施するなど、引き続き両国間の協力関係の強化に努めることとしています。

覚書署名の模様
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平成8年12月から平成9年2月にかけて中国人集団密航が頻発し、不法入国者が急増したことから、平成9年3月には、海上保安庁、警察庁、法務省及び外務省からなる密航防止訪中団が中国外交部及び公安部と協議を行い、
について提案しました。
![]() 中国人集団密航船の様子 |
![]() 中国当局との意見交換 |
これを受け、平成9年10月、密航に関する第1回日中海上取締機関協議、平成11年3月には、第2回協議を開催し、密航の現状及び取締り対策等について情報交換を行うとともに、連絡窓口の設定を再度申し入れました。
その後、中国公安部と協議を重ね、「日本国海上保安庁と中華人民共和国公安部との間の海上犯罪の防止及び取締りに関する討議の記録」について、現在、最終的な意見の一致をみており、その締結には両機関の代表者による署名を行うのみとなっています。
この中では、次の事項等が明記されています。
日中治安当局間における連携協力体制の構築の結果により、例えば、我が国周辺海域で中国籍の密航容疑船が発見された場合、直ちに中国に通報するとともに、巡視船・航空機が領海侵入を未然に防止し、中国沿岸まで追尾・監視のうえ、中国当局の艦艇に洋上で引き継いで対処しています。また、同時に中国国内では、密航請負組織「蛇頭」の取締りが積極的に実施されています。
さらには、日本の会社が運航するグローバル・マーズ号が平成12年2月にマレイシアの港を出港後消息を絶ち、同年5月に中国で同船が発見された際には、中国公安部と海上保安庁の間での迅速な情報交換が行われ、同局が船体を押収し捜査中であった「BUCAWAN」号という船舶が、改名されたグローバル・マーズ号であるということが判明し、同号の船体発見に至りました。
最近では、平成13年3月から4月にかけて、我が国で中国人によるコンテナを使用した集団密航が多発したことから、平成13年4月、警察庁等関係機関との間において多発するコンテナによる集団密航について、連携協力体制の更なる強化を図ることについて合意し、また5月には外交ルートを通じて中国政府に対し密航防止対策を強化するよう申し入れを行いました。その後、中国公安部では、大連港から日本向けに積み出されるコンテナにFTDシールという密航防止用の封印を施すなど、密航防止対策を強化しています。また、平成13年6月、警察庁とともに職員を中国へ派遣し、北京の中国公安部や日本向けのコンテナ取扱い量の多い、大連、天津の地方公安当局と集団密航防止対策に関する緊急協議を開催しました。この協議においても、中国政府に対し密航防止対策を強化するよう申し入れました。
今後も、両国の連携・協力体制をさらに強化していくために、可能な限り早期に、「日本国海上保安庁と中華人民共和国公安部との間の海上犯罪の防止及び取締りに関する討議の記録」に署名を行い、両国間の海上犯罪防止等に関する連携・強化を図ることとしています。

船倉に潜んでいた密航者
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平成11年4月、日韓海上保安当局間の長官級会議を韓国仁川において初めて開催しました。この会議の結果、あらためて両庁の協力の重要性が認識され、相互協力を引き続き行っていくことで意見が一致し、「日本国海上保安庁と大韓民国海洋警察庁間の協力について」に両長官による署名が行われました。
この中では、次の事項が明記されています。
ア) 薬物・銃器等の密輸対策に関する業務
イ) 密入出国等対策に関する業務
ウ) 新日韓漁業協定発効に伴う違反漁船の取締りに関する業務
エ) その他の海上犯罪関係対策業務
オ) 海上での捜索・救難に関する業務
カ) 海洋汚染防除に関する業務
について、情報交換等の協力を推進すること。
また、平成12年9月に北九州市において行われた第2回長官級会議においては、地域組織間における協力及び相互関連情報の円滑な交換を目的とする両庁地域間連絡窓口を設定することの申し合わせがなされました。
今後とも、引き続き長官級会議を開催していく中で、両国間の海上犯罪抑止等に関する連携・強化を図ることとしています。

日韓海上保安当局間長官級会議
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海上保安庁職員の在外公館出向者は、釜山総領事館、上海総領事館をはじめ8カ国8名であり、平成14年度からは、これに加えてソウル、北京などに出向することが予定されています。この他、国際協力事業団長期派遣専門家等として、海上保安庁から7名をフィリピンなどに派遣しています。
海上保安庁がこれらの国々の在外公館等に職員を出向させている主な目的は、国際関係業務の円滑な推進などです。また、これら職員は、二国間協力・連携等をより効果的に進める役割をも果たしています。
海上保安庁職員が出向している在外公館等

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