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不審船事案への対応 海上保安庁では関係機関と連携をとりつつ、不審船が出没する可能性が高い海域を重点に巡視船艇・航空機による警戒に当たることとしており、不審船事案の対応に全力をつくしています。 |
平成11年3月23日、海上保安庁は能登半島沖の不審な漁船2隻に関する情報を入手しました。このうち、第二大和丸は兵庫県沖で操業中、第一大西丸は漁業原簿から抹消されているのを確認したため、2隻の漁船は不審船であると判断しました。
このため巡視船艇15隻、航空機12機を動員し、停船命令を発しましたが、両船が無視して逃走したため威嚇射撃を実施しました。両船はこれをも無視し高速で逃走を続けました。
海上保安庁としてはこれらの状況を内閣に逐次連絡し、これを受けて政府は同月24日、自衛隊法82条に基づき海上警備行動を発令しました。その後も海上自衛隊と共に不審船の追跡を継続しましたが、不審船が我が国の防空識別圏を出域したため追跡を断念しました。
結果として、不審船を停船させることはできませんでしたが、海上保安庁としてとりうる可能な限りの措置を講じました。
![]() 不審船への威嚇射撃の状況 |
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![]() 漁船「第2大和丸」に偽装した不審船 ![]() 漁船「第1大西丸」に偽装した不審船 |
能登半島沖不審船航跡図 |
不審船事案は、今後とも政府が一丸となって対処することが重要であるという認識のもと、我が国の安全確保及び危機管理に万全を期すため、内閣官房を中心に関係省庁において検討がなされ、平成11年6月4日の関係閣僚会議において、「能登半島沖不審船事案における教訓・反省事項について」が取りまとめられ、了承されました。
ここで、「不審船への対応は、警察機関たる海上保安庁がまず第一に対処し、海上保安庁では対処することが不可能若しくは著しく困難と認められる場合には、海上警備行動により自衛隊が対処するとの現行法の枠組みの下、必要な措置を検討」することを基本的な考え方とすること等が確認されました。
その具体的な内容は、(1)海上保安庁及び防衛庁は、不審船を視認した場合には、速やかに相互通報すること、(2)状況により官邸対策室を設置するとともに、必要に応じ関係閣僚会議を開催し、対応について協議すること、(3)巡視船艇等の能力の強化など海上保安庁等の対応能力の整備を図ること、(4)海上保安庁及び自衛隊の間の共同対処マニュアルの整備など具体的な運用要領の充実を図ること、(5)不審船を停船させ、立入検査を行うという目的を十分達成するとの観点から、対応能力の整備や運用要領の充実に加え、危害射撃の在り方を中心に法的な整理を含め検討すること等となっています。
これを踏まえ海上保安庁では、不審船を捕捉するために十分な高速性能及び航続距離を有し、目標を自動的に追尾する機能を有した20ミリ機関砲を装備し、防御機能を強化した高速特殊警備船3隻、つるぎ(新潟)、のりくら(金沢)、ほたか(舞鶴)を整備するとともに、既存の高速小型巡視船の配属替や、武器、防御機能の強化を実施しました。
また、夜間監視能力強化型ヘリコプター2機を整備し、ヘリコプターの防弾構造化を実施する等監視体制及び対応能力の強化を図るとともに、自衛隊との連携強化を図るため、防衛庁と海上保安庁との間で、不審船に係る「共同対処マニュアル」を平成11年12月に作成しました。
また、海上保安庁法で、不審船を停船させるため他に方法がないとき、合理的に必要と判断される限度で船体に向けた射撃を可能とし、この場合に人への危害を許容するような所要の規定の整備について検討しているところです。

日本海側に配備された高速特殊警備船