V 国際機関等における活動


1 国際海事機関(IMO)

 国際海事機関(IMO)は、主として海上における船舶の安全確保及び海洋環境の保全のための政府間協議・協力を促進することを目的とする国連専門機関であり、ロンドンに事務局が置かれている。

 海上保安庁は、海上安全委員会(MSC)、海洋環境保護委員会(MEPC)の各委員会及び無線通信捜索救助小委員会(COMSAR)、航行安全小委員会(NAV)等の各小委員会に専門家を出席させている。

 12年3月15日には、IMO本部において、当庁も策定に参画してきた「2000年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書」(仮称)の採択のための外交会議が開催され、海上保安庁次長を団長とする我が国代表団も、その採択を支持した。

 このほか、11年度には、SOLAS74条約(注1) 、COLREG72条約(注2) 及びMARPOL73/78条約の見直しに関する作業に参加した。


(注1)1974年の海上における人命の安全のための国際条約
(注2)1972年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約

2 国際水路機関(IHO)

 国際水路機関(IHO)は、航海の安全のために各国の水路関係機関の活動の協調を図り、水路図誌の統一、水路技術の向上を目的とする国際機関であり、モナコにその事務局たる国際水路局(IHB)が置かれている。

 海上保安庁は、国際海図の刊行、世界航行警報業務の活動や電子海図の表示システム、データベースに関する各種委員会に専門家を出席させている。

3 コスパス・サーサット(COSPAS/SARSAT)

 コスパス・サーサットは、捜索及び救助のために打ち上げられた人工衛星(コスパス衛星及びサーサット衛星)を用いたシステムを運用するために設置された国際機関であり、ロンドンに事務局が置かれている。

 我が国は、システムの地上部分(MCC、基幹MCC等)の提供国となっており、海上保安庁は、システムの維持及び発展に的確に対応するため、コスパス・サーサット理事会(CSC)、合同委員会(JC)等に専門家を出席させている。11年度の会議では、2000年問題対策や衛星EPIRBの誤発射対策などに関する議論がなされた。

4 国際航路標識協会(IALA)

 国際航路標識協会(IALA)は、航路標識・海上交通管理業務の向上、調和等により船舶交通の安全の確保と経済的かつ迅速な運行を促進することを目的とする国際的な機関であり、パリ郊外に事務局が置かれている。IMO、IHO等の他の海事関係国際機関と密接な連携を保ちつつ、航路標識に関する情報・資料の交換、航路標識システムの標準化等を行うとともに、加盟国の技術向上を図っている。

 海上保安庁は、昭和50年から同協会の理事を務め、協会の運営に参画するとともに、運用委員会、エンジニアリング委員会、電波航法委員会及びVTS(Vessel Traffic Service)委員会に専門家を出席させ、技術先進国として航路標識分野における技術の向上に関する協力を行っている。

 11年度には、東京において第22回理事会を開催し、VTSの運用に関するガイドライン等を採択したほか、テクニカルツアーを行い最先端の航路標識施設を紹介した。

5 政府間海洋学委員会(IOC)

 政府間海洋学委員会(IOC)は、加盟国の共同活動を通じて海洋の自然現象及び資源に関する知識の増進を図りつつ、各種の国際的な海洋調査・研究、海洋汚染監視、海洋資料交換、教育・訓練及び相互援助等の事業を行うため、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の中に設けられた機関である。

 我が国においては、日本海洋データセンターが、IOC刊行物・文書保管センター業務を実施するとともに、IOCの依頼により、西太平洋海域共同調査(WESTPAC)実施海域内の各国海洋関係機関の職員を対象に、海洋データ管理研修を昭和57年度から毎年実施している。

6 国連麻薬委員会(CND)及び国連薬物統制計画(UNDCP)

 国連麻薬委員会(CND)は、国連経済社会理事会の機能委員会の一つで麻薬等の国際統制に関する意思決定の中心機関である。国連薬物統制計画(UNDCP)は、薬物関係国際条約の適正な実施を確保し国際薬物統制における指導的役割を担う機関である。これらの機関において薬物対策に関する国際協力促進のための方策が検討されており、海上保安庁は、従来から海上における薬物の不正取引の防止に対するCND、UNDCPの活動に積極的に協力している。

7 国際天文学連合(IAU)

 国際天文学連合(IAU)は、各国天体暦の仕様を始めとする天文活動に関する方針等を決定する国際的な機関であり、パリに事務局が置かれている。

 海上保安庁は、国際的な協調の下に天文観測を行い、「天体位置表」を刊行しているが、天体暦の精度向上に資するため、IAUの要請により、星食国際中央局(ILOC)業務及び星食観測の予報提供業務を米国海軍天文台から引き継いで実施している。

 11年度は、26か国から送られてきた約8,800件の星食観測の記録をデータにまとめ、IAU及び各国の観測機関等へ報告した。

8 東アジア水路委員会

 東アジア水路委員会(EAHC)は、IHOの地域水路委員会の一つであり、東アジア地域の水路業務に関する調査・開発の情報の相互交換及び技術の発展に関する相互協力を目的とし、東アジア地域8か国で構成されている。最近では、電子海図の作成やRENC(地域電子海図調整センター)に関する協力について討議している。

 海上保安庁は、この委員会の常設事務局となっており、加盟各国の協調関係の推進に努めている。

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