U 各種船舶に対する安全対策


 我が国周辺海域では、運航形態、運航体制等が異なる様々な種類の船舶が航行しており、それぞれの特性に応じた安全対策が必要である。

1 タンカー

 タンカーの11年における救助を必要とする海難に遭遇した船舶(以下「要救助船舶」という。)の隻数は34隻で、全救助船舶隻数の2%となっており、最近10年間、比較的低い水準で推移している。タンカーの海難発生場所は、59%が東京湾、伊勢湾、瀬戸内海で発生しており、この海域での安全対策が重要となっている。

2 放射性物質等積載船舶

 核分裂性物質及びその他の多量の放射能を有する放射性物質等の海上輸送については、輸送中の事故等による災害を防止するため、「危険物船舶運送及び貯蔵規則」に基づき、管区海上保安本部長に運送届が提出される。この届出を受けて、運送の日時及び経路、連絡体制、運送中の海難による災害の防止や特定の核燃料物質を輸送する場合の防護体制について、必要な事項を指示・指導するとともに、積載船舶の動静の把握、巡視船艇による警備及び航路等の警戒を行っている。
11年は、78件の運送届を受けた。

3 旅客船

 国内におけるカーフェリーを含む旅客船の運航状況を見ると、12年4月1日現在1,398航路に2,372隻が就航している。また、このうち航路距離が片道300キロメートル以上あり、陸上輸送のバイパス的な役割を果たす長距離フェリーは14航路に22隻(69万総トン)が就航している(運輸省海上交通局国内旅客課)。

 カーフェリーを含む旅客船の11年における要救助船舶隻数は32隻であり、前年に比べ14隻増加している。旅客船海難は、多数の乗客等に危険が及ぶ可能性が高いことから、海上保安庁は、従来から海上交通関係法令や運航管理規程の遵守、緊急時の避難・救助訓練の実施等について指導を行い、その安全の確保に努めているところである。

4 木材運搬船

 木材運搬船の11年における要救助船舶隻数は9隻で、前年に比べ4隻増加している。木材運搬船の海難は大量の木材流出を伴うことが多く、漂流・拡散した場合は、他の船舶の航行を阻害したり、風潮流により沿岸へ漂着して漁業施設や海浜環境に影響を与えるなど被害が広範囲に及ぶという特徴がある。

 こうしたことから、木材運搬船の海難を未然に防止するため、これらの入港時等機会あるごとに、浸水防止対策、荷崩れ防止対策、復原性の確保及び荒天時対策を重点事項として訪船指導を実施するとともに、重点事項をまとめたパンフレットを船舶所有者等関係先に配付するなど防止対策を講じている。

 さらに、木材流出事故が発生した場合には、同関係者に対し、船舶交通の障害となる漂流木材の早期回収・除去を強力に指示又は指導している。

5 漁船

 漁船の11年における要救助船舶隻数は、694隻で、前年に比べ72隻増加しており、依然として全要救助船舶1,920隻に占める漁船の割合は高く、36%となっている。

 海難の状況を見ると、見張り不十分等の運航の過誤や機関取扱不良といった人為的要因によるものが、67%を占めていることから、漁船の海難を防止するため、関係者を対象とした海難防止講習会の開催、訪船指導の実施等により海難防止思想の普及の徹底を図るとともに、航法や海事関係法令の遵守、出漁前の整備点検、見張りの励行、気象・海象情報の的確な把握、救命いかだ等の取扱方法の習熟、相互連絡・協力体制の確立等の指導を行っている。

6 外国船舶

 外国船舶の11年における要救助船舶隻数は132隻で、過去5年間では、ほぼ横ばい状態である。しかしながら、総トン数1,000トン以上の貨物船及びタンカーの全要救助船舶79隻について見ると、外国船舶が68隻となっており日本船舶の11隻に対し外国船舶の占める割合が高くなっている。また、本邦に入港する外国船舶の中には、我が国周辺海域の気象・海象等に不案内な船員を配置し、乗船したものも見られる。

 これら外国船舶の海難を防止するため、我が国周辺海域の気象、海象の特性、同情報の入手方法、ふくそう海域における航法及び航路標識の設置状況等について、外国船舶用パンフレットを利用するなどして周知の徹底を図るとともに、気象・海象情報の適切な入手及び荒天時における早期避難、航行安全上必要な海図の備付け等について、訪船指導等機会あるごとに指導を行っている。

 このほか、我が国の主要な港において、外国船舶を取り扱う代理店、運航会社、用船会社等からなる外国船舶安全対策連絡協議会の設立(12年7月末現在47協議会)を促進するとともに、活動の活性化を推進しているところであり、これらの協議会を通じ、航海情報等の提供を行っている。

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