V 民間団体の充実強化
1 民間団体による事故防止対策
プレジャーボート等の安全を確保するためには、愛好者自らがその安全意識を高めていく必要があるが、初心者を始めとする全ての愛好者にまで幅広く安全意識を浸透させるためには、海上保安官のマリーナ等への訪問による安全指導に加え、安全意識の高揚等を自主的に行う民間団体等の活動は不可欠であり、これを支援することが重要である。
(1) 小型船安全協会等
小型船安全協会等は、愛好者の海難防止に関する知識・技能等の向上を図るため、民間の自主的な活動の組織母体として、安全講習会及び実技講習会の開催等地域に密着した安全活動を展開している。
また、民間ボランティア活動家である海上安全指導員は、プレジャーボート等に対する安全教育活動等を行っており、11年には海上安全パトロール活動等を通じ約43,000隻のプレジャーボート等を対象に安全指導を行っている。
海上保安庁では、小型船安全協会等との連携を積極的に推進し、安全講習会や実技講習会への協力、海上安全指導員との合同海上安全パトロール活動などを行っている。
(2) 各種安全対策協議会
スキューバ・ダイビングやボードセーリングの事故防止を図るため、これらの活動が活発な地域では、マリンレジャー愛好者、ダイビングショップ等のサービス提供者、医療機関、ホテル等の関係者で構成され、自主的な安全対策の普及・実施及び事故発生時における適正かつ迅速な救助体制の整備を目的とした、地区スキューバ・ダイビング安全対策協議会(12年8月現在41団体)や地区ボードセーリング安全対策協議会(12年8月現在4団体)が設立されている。
海上保安庁では、当庁潜水士との合同潜水訓練の実施や各種研修会における講師派遣等、これら協議会の活動を積極的に支援している。
2 民間団体による救助活動
沿岸部における海難等においては、地元住民等による応急的な救助活動が有効な場合も多いことから、各地における民間の救助活動を充実強化することは大きな意義を有している。
(1) (社)日本水難救済会
現在、我が国の沿岸部において海難等救助活動を行う民間ボランティア団体として中心的な役割を果たしているものに、(社)日本水難救済会がある。
同会は、日本全国の沿岸で591か所の救難所及び403か所の救難支所に約42,000人(12年6月末現在)のボランティアの救難所員を配置して、地元での海難等の発生に即応し救助活動を行っている団体である。
11年の海難等への出動回数は398件であり、417人の人命、198隻の船舶を救助している。
また、我が国の沿岸一帯に空白のない救助拠点を整備するためには、同会の事業及び組織を活用することが重要であることから、海上保安庁では、(社)日本水難救済会が行う海難救助訓練の指導や救助手法等の講習会への講師派遣等を通じて、同会の活動を積極的に支援している。
(2) (財)日本海洋レジャー安全・振興協会
余暇活動の一環として個人の責任で行われるというマリンレジャーの特性等を踏まえた諸施策を推進することにより、我が国におけるマリンレジャーの健全な発展に寄与することを目的として、(財)日本海洋レジャー安全・振興協会が3年7月に設立された。
同協会の行う安全・救助事業には、BAN、DAN JAPANのほか、安全潜水管理者や各種海上安全指導員の養成及び認定登録、安全思想の普及・啓発活動があり、海上保安庁では、BANサービス海域拡大に向けた協力や安全潜水管理者の養成講習会への講師派遣等、安全・救助事業について積極的に支援し、マリンレジャーの安全を確保していくこととしている。
BAN(Boat Assistance Network:プレジャーボート救助事業)とは、プレジャーボート等を対象に会員制度の下、会員艇が機関故障等で航行障害となった場合のえい航又は伴走、乗員が行方不明となった場合の捜索等の救助サービスを24時間体制で実施するものである。会員がこれらのサービスを受けた場合の費用は原則として無料であるが、非会員の場合の費用は自己負担となる。BANは、4年7月から東京湾及び相模湾から伊豆諸島の神津島付近までの海域で運営してきたが、さらに、8年7月からは大阪湾及び播磨灘と紀伊水道北部の海域でも開始した(第2−3−6、7図参照)。
第2−3−6図 BANサービス概念図

第2−3−7図 BANサービス海域図

12年6月末現在、会員数は3,259艇であり、事業開始以来750件の海難等に出動している。
DAN JAPAN(Divers Alert Network of Japan:レジャー・スキューバ・ダイビング事故に係る応急援助事業)では、会員制度の下、緊急に専門医による治療を必要とする潜水病等の疾病にかかったダイバーのために緊急ホットラインが24時間体制で対応しており、事故現場及び搬送途中における応急措置方法のアドバイスや、潜水病患者の受入れが可能な再圧治療施設を有する医療機関に関する情報を提供している(第2−3−8図参照)。
第2−3−8図 DAN JAPANホットラインサービス概念図

また、DAN JAPANでは、ダイビング後の耳の異常など緊急に病院に行く必要はないが、ダイバーが不安を感じる症状に対して医師の対応が容易に受けられるよう、スキューバ・ダイビングに理解のある医師・医療機関等によるネットワーク(Divers Doctor Network:略称DDNET)を構成し、対応している。
さらに会員を被保険者として国内外を問わずレジャー・スキューバ・ダイビング中に被る障害等に対する補償を周年担保する保険を整備する等、安全潜水に係る種々のサービスを提供している。
12年6月末現在の会員数は12,511名である。