U 装備
1 船艇・航空機
(1) 船艇の現状
海上保安庁は、極めて広範多岐にわたる業務を実施するため、11年度末現在、警備救難、水路及び灯台業務用の船艇516隻、また、職員の教育訓練用艇3隻の合計519隻(153,578総トン)の各種船艇を保有している。
ア 警備救難業務用船
警備救難業務用船は、海上における治安の維持、海上交通の安全確保、海難の救助、海上災害の防止、海洋汚染の防止、その他海上保安業務に従事しており、巡視船123隻、巡視艇234隻、特殊警備救難艇83隻の合計440隻であり、このうち、大型巡視船は52隻配備している(第2−10−1図参照)。
12年度は前年度からの継続分として、大型巡視船2隻、小型巡視船4隻及び大型巡視艇1隻を整備するほか、新規分として監視取締艇1隻を整備することとしている。
第2−10−1図 大型巡視船の配備状況

イ 水路業務用船
水路業務用船は、水路測量、大陸棚調査、海象観測、地震予知測量等に従事しており、大型・中型測量船5隻、小型測量船7隻の合計12隻を配備している。
ウ 灯台業務用船
灯台業務用船は、航路標識の性能の測定、灯浮標の設置及び交換、灯浮標、灯標等の点検整備等に従事しており、航路標識測定船1隻、設標船4隻、灯台見回り船59隻の計64隻を配備している。
12年度は、灯台見回り船2隻の整備を行うこととしている。
(2) 航空機の現状
航空機は、その優れた機動力と監視能力によって、海上における治安の維持、海上交通の安全の確保、海難の救助、海上災害の防止、海洋汚染の防止、その他海上保安業務に従事しており、11年度末現在、飛行機29機、ヘリコプター44機の合計73機の航空機を全国14の航空基地及び9の海上保安部に配属している。(第2−10−2図参照)。
12年度には、前年度からの継続分として中型飛行機3機及び中型ヘリコプター1機を整備するとともに、新規分として中型ヘリコプター1機を整備することとしている。
第2−10−2図 航空機の配備状況

2 通 信
海上保安庁は、我が国周辺海域を航行する船舶との間で、海難に関する通信、航行警報に関する通信、海上気象予報・警報に関する通信、船位通報に関する通信、入出港に関する通信、巨大船との航路通報に関する通信等の様々な通信を実施している。このほか、海上保安庁は部内相互間における指揮、命令、報告等を行う通信を実施している。
このため、海上保安庁では、統制通信事務所、航空基地などの陸上通信所、巡視船艇等で使用する通信施設及び本庁、管区、部署間を結ぶ陸上回線網の建設・保守を行っている(第2−10−3図参照)。また、「海上における遭難及び安全に関する世界的な制度」(GMDSS)に適切に対処していくため、コスパス・サーサット(COSPAS/SARSAT)システムの地上設備、NAVTEX送信局、中波及び短波海岸局並びに日本語NAVTEXを整備しているほか、巡視船艇等への施設の整備についても既に完了し、運用を行っている。
さらに、ますます増大する業務ニーズや、昨今の情報化の流れ等に対応するため、通信回線を高品質で信頼性の高いデジタル回線への移行を進めている。
第2−10−3図 通信所等配置図

3 行政情報化の推進
6年12月に「行政情報化推進基本計画」が閣議決定(9年12月改定)されたことを踏まえ、海上保安庁でも、情報通信技術の急速な普及に対応して、海上保安行政に関する情報基盤の整備を通じ、国民サービスの向上及び行政事務の効率化を図るため、行政の情報化を総合的な観点から推進しているところである。
9年10月には、クライアント・パソコンの設置、運輸省、霞が関WAN及びインターネットとの接続を行うとともに、10年3月にはインターネット・ホームページ(http://www.kaiho.motnet.go.jp/)を開設し、海上保安行政情報の提供、一般からの意見、質問の受付を行っている。
11年度は、前年度に引き続きクライアント・パソコン等の増設とともに省庁間電子文書交換システムの整備を行い、海上保安行政事務の一層の効率化を図った。
12年度は、新たに総合的な文書管理システムの整備を開始し、更なる行政事務の効率化を図っていくこととしている。
4 海洋情報システム
海洋情報システムは、事件・事案に的確に対処するために、巡視船艇・航空機の動静に関する情報及びJASREPによって得られる船舶の位置に関する情報のほか、外国漁船・外国海洋調査船の動静に関する情報、航行船舶の安全に関する情報、過去に発生した海難の情報等についても集中管理するものであり、これにより海上保安業務の効率化を図っている。
昭和60年10月から運用を開始したこのシステムは、本庁の情報処理装置と、管区海上保安本部を経由してオンラインで接続された全国の海上保安(監)部、特定港を有する海上保安署、航空基地、統制通信事務所等の入出力端末機で構成され、24時間リアルタイムで情報の提供・処理を行っているコンピューターシステムである。
11年度は、巡視船艇において、不審行動船舶の早期特定を図り、迅速かつ的確な追尾、監視等を行うため、海洋情報システムが保有する各種データベースへのアクセス用パソコン等を整備した。
5 留置施設
海上保安庁は、管区海上保安本部、海上保安(監)部、海上警備救
難部及び海上保安署並びに巡視船に計129か所の留置施設を設置している。
海上保安庁の留置施設の適正な管理運営を図り、被留置者の人権を尊重しつつ、その適正な処遇を行うため、「海上保安庁の留置施設に関する法律案」を過去2回国会に提出したが、審議未了となった。しかしながら、この法律案は、「刑事施設法案」及び「留置施設法案」の立法趣旨と同様に、海上保安庁の留置施設に留置される者の適正な処遇の保障を目的としていることから、その早期成立に向けて、関係省庁と共同歩調をとりつつ、対応していくこととしている。
さらに、被留置者の人権保護、処遇の向上を図るため、留置施設内のトイレの改善やシャワー室を設置し、施設の改善を図っている。
6 庁舎等の整備
海上保安業務遂行のための組織及び正面装備がその機能を十分に発揮するためには、発進基地としての船艇・航空基地施設や後方支援施設である庁舎等を正面装備と一体的に整備しなければならない。しかしながら、海上保安庁の施設の現状をみると、船艇・航空基地施設については、老朽化が著しく、機能上業務ニーズへの対応が困難となっており、また、後方支援施設については、借上庁舎や老朽・狭あい宿舎が多数散在するなど、執務及び生活環境の整備が不十分であり、これら施設の修繕、更新に関する需要は増加している。
また、海上保安業務の複雑・多様化に伴い、事務処理の効率化及び質的向上を図る必要が生じてきており、船艇職員執務室、武道場等の早期整備が求められている。
そのうえ、船艇・航空機の大型化等に伴う船艇・航空基地施設の整備、空港整備計画に伴う航空基地施設の移転整備及び港湾整備計画に伴う船艇基地施設の整備等、新規需要も確実に増えている。
このため、海上保安庁では、質・機能の充実した施設の整備や既存施設の修繕により、老朽・狭あい施設の解消や、執務及び生活環境の改善を図るべく、施設の整備を実施していくこととしている。