W 研究開発
海上保安庁は、海上における治安の維持、海上交通の安全確保、海難の救助、海上防災・海洋環境保全等の幅広く専門的な分野において、その時々の経済社会、国際等の情勢変化に対応した業務を的確かつ迅速に遂行しなければならない。このような状況下において、その業務能率及び精度を向上させるための研究開発は欠かすことができない。
このため、民間を始め、関係各機関等から新技術の導入を積極的に行っているが、業務の性格上、独自で研究開発を行わなければならないものも多く、総務部海上保安試験研究センター、装備技術部、水路部海洋研究室においてそれぞれの業務に関連した研究開発を行っている。
11年度に行った主な研究開発は、第2−10−2表のとおりである。
第2−10−2表 11年度に行った主な研究開発
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研究名 |
概 要 |
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船舶技術 |
船首構造の強化措置に関する調査研究 |
不法操業等の取締りの際に実施する強行接舷における船体の損傷を防止するため、船首構造の補強法の研究及び防舷材の開発を行うとともに、その効果についてシミュレーション解析により評価し、これらを運用指針として纏めた。 |
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巡視船艇への新型推進装置の適用に関する調査研究 |
巡視船艇の高速化に資するため、運輸省船舶技術研究所と共同で各種新型プロペラの性能評価を行っており、11年度はトランスキャビテーションプロペラについて模型実験等を行った。 |
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蓄電池の劣化防止等に関する開発研究 |
主機関起動用電源装置について、一層の信頼性向上を図るため、電気二重層コンデンサと鉛蓄電池を並列に繋いだ、新しいハイブリット方式の蓄電装置を開発した。 |
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その他の船舶技術関係開発研究 |
11年度には上記の他以下の開発研究を行った。 |
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水路技術
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海底測地測量に関する研究 |
海底での音響測距や精密水圧測定による地核変動観測を実施するため、音響測距について水温補正手法の改善と海洋潮汐に伴う水圧変化の補正を施すことにより測定精度の向上を図った。また、精密水圧測定については、センサーの性能を検討して、測器の設計・製作を行い、相模湾での長期観測を実施し、水深千メートル以上の海底の圧力変動に関する情報を収集した。 |
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データアシミレーションによる海況把握手法の研究 |
海流・水温等の海況解析に、データアシミレーション技術を導入して、より合理的な海況把握を行う手法を開発するため、同技術の動向調査及びアルゴリズムの検討を行い、海況把握データアシミレーションモデルの開発を行う。11年度は、モデルのアルゴリズムを設計するとともに、海流データ、衛星海面高データ等入力データの整備を行った。 |
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漂流予測モデルの開発 |
海岸地形・海底地形の影響を大きくうける吹送流を高精度で推定し、漂流予測の精度向上を図るため、大阪湾を対象海域として吹送流の数値シミュレーションを取り込んだ漂流予測モデルを作成すると同時に、漂流物の存在確率を表示する機能を組み込んだ。 |
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航路標識技術 |
シュミレーションを利用した航路標識装備の最適配置等に関する調査 |
複雑な形態を持つ港湾及び海域における航路標識の整備にコンピュータグラフィック(CG)シュミレーションを利用することで、想定される整備の状況が視覚的に確認でき、標識の規模、配置等を任意に変更しての検討が可能となることから、CGシュミレーションによる航路標識の最適配置等に関する研究を行った。 |
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面光源の利用に関する調査研究 |
電光掲示板等のような面表示(面光源)は識別性に優れており、航路標識のあらゆる箇所に面光源を採用することで視認性の向上が期待されることから、発光ダイオードや光ファイバー等、新光源を利用し、高効率な航路標式用面光源を見いだすための調査研究を行った。 |