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海の「もしも」は118番
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り 旅客船 惨事を防ぐ 慎重さ

【(社)日本海難防止協会 安全運航のいろは】 より

図1

 皆さんは“他山の石”とか“対岸の火事”という諺を知っていることと思います。
 事故を例にとっていえば、前者は「自分とは関係ない他の事故も参考にして、自分を戒め、当該事故を勉強して自分の事故がないようにする」ということであり、後者は逆に「俺には関係ないとして無視していしまう」ことをいいます。
 「他山の石」の語呂合わせではありませんが「他国の例」を取り上げてみましょう。

1 欧州の海難事例
(1) エストニア号の転覆事故
  1993年9月、荒天下のバルト海で大型フェリー・エストニア号(15,600総
 トン)が荒天航行中、船首のランプドアーから海水が車両甲板に流失し、動揺による車
 両の偏り(固縛装置の外れ)、流失海水のフリーウォーター化を伴い転覆沈没し、
 909名の犠牲者を出した。後日の調査ではランプドアーが完全に閉鎖されず、半開き
 状態であったことが判明した。
(2) ヘラルド・オブ・エンタープライズ号の転覆事故
  1987年3月、大型フェリー・ヘラルド・オブ・エンタープライズ号(7,951 
 総トン)が、ベルギーのジーブルージ港を出航直後(沖合い約1km)転覆し、180
 名の乗客、乗組員が犠牲になった。
  同船は車両甲板に充満した自動車の排気ガスを航走しながら換気するための船首バウ
 バイザーとランプドアーを開放したまま出港したため、この船首開口部から海水をすく
 い、短時間のうちに転覆沈没した。出港時のバウバイザーなどの閉鎖がなされておら
 ず、かつ閉鎖の確認が船橋ではなされていなかった。当時の天候は東寄りの微風、うね
 りもほとんどなかった。
  このような海難、こんな馬鹿なことは日本では有り得ないと「対岸の火事」としては
 いけません。やはり「他山の石」と謙虚に受け止めるべきです。

2 我が国の事故
  最近の我が国の大型客船フェリーを含む海難事例を見ると、船体の損傷のみに止まっ
 ている岸壁接触事故もありますが、時化の中で閣座し、乗客、乗組員等161名が困難
 な状況下救助されるという事故、さらには、台風の影響で走錨し護岸のテトラポットに
 接触し危うく乗揚げそうになったもの、入港時防波堤に衝突したものなど、一歩誤れば
 大惨事になる恐れのあった事故などが発生しています。
  洞爺丸の事故、紫雲丸や南海丸の事故はかなり以前のものですが、旅客船事故の恐ろ
 しさを示すものとして、旅客船関係者は遠い過去のものと決して忘れてはならないもの
 です。   

  旅客船の事故は、悪い状況下で発生すれば何百人、また千人以上の乗客・乗組員の命
 を奪う恐れを秘めているものです。前期エストニアなどの事故は現在でも、最新の旅客
 船でもその恐れが現実にあることを如実に示したものです。
  なお、旅客船の事故では、他に比べて衝突が多いのが特徴で旅客船事故の中の4割程
 も占め、乗揚げも2割程度を占めています。原因も操船不適切が他の船舶に比べ多い割
 合となっています。

3 海難防止対策
  日本海難防止協会では、毎年専門家(訪船アドバイザー)による旅客船の訪船指導と 
 いう事業を行っています。この訪船指導において示された意見と最新の事故を関連させ
 ての主な注意事項を記します。
 (1)海上模様との関係
  1.台風等に対して避泊する場合は、風や波浪の影響の少ない場所を選定すること。
    大型フェリーを始め旅客船は一般的に構造上風圧面積が極めて大きいので、この
   点に留意する必要があります。
  2.当該港についての「運航基準」を遵守すること。
    風には強弱があり、また波浪にも大小や方向の違いがあります。特に地方の港
   は、入り口や港内が比較的狭く、これらの気象・海象の影響を直接受け易いので、
   会社(運航管理者)および船長は風や波浪の強い時の入港については、厳格に、慎
   重に判断する必要があります。
 (2)運航体制
  1.船橋内での役割分担の明示など組織的運用の実施(BRM)
    船長の他にも配置者がありながら夜間、視界不良時が事故の原因となっているも
   のがあります。
  2.厳重な見張りの実施
    居眠りによるもの、他船の動向を継続して把握していなかったものによる衝突が
   みられます。
  3.船首、船尾配置者からの的確な状況報告の実施
    船橋からの報告指示、前後部をからの報告のない船もみられ、離着岸時に岸壁な
   どへ船首部、船尾部を接触させる事故が散見されます。  
 (3)操船法 
  1.荒天下における出入港(もちろん運行基準遵守)の操船法の研究
    出入港する夫々の港について、操船法、支援法を研究し、マニュアルを作成して
   おくこと。
  2.風圧に対するバウスラスターなど使用による操船限界を把握した操船
    バウスラスター、両舷推進器やジェット推進器、特殊舵の使用については、当然
   その能力には限界があります。狭い港内で無理をすると、港内、岸壁の状況、それ
   らと風の関係により操船に困難をきたし危険に陥ることとなります。 
  3.錨を活用した操船法採用の検討
    内航貨物船は実にうまく錨を活用しています。バウスラスター装備の旅客船で
   も、状況によってはこの操船法を活用するとよいと思われます。
  4.タグボートなどの支援の検討、準備
    タグボートがない港でも綱取り支援のボートの準備など、当該港に合った支援法
   を考え、準備しておくとよいでしょう。
  5.スクリュー固定ピッチ船では着岸前の後進テストの実施
    後進が掛からず岸壁に衝突する船が散見されます。後進テストを必ず行うほう、
   入港時には必ず錨をスタンバイしておくこと。
  6.ジェット推進船、ジョイスティック船などでの操船法研究
    従来の操船法と異なる船では操船法を十分に研究・慣熟し、またその特殊機能が
   トラブルを生じた場合の応急操船についても研究しておく必要があります。
  7.岸壁接近速度に注意
    該船アドバイザーから、一般的に着岸時における接近速度が過大ぎみであるとの
   指摘がみられます。

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