施策紹介

○ 不法入国事犯の取締り強化

 我が国における不法入国事犯は、依然として中国人を中心に発生しており、上陸地点は日本全国に及んでいる。

 中国人による不法入国事犯は、2年に初めて中国漁船を仕立てた集団密航が発生し、また、貨物船の船内に潜伏してくる密航も集団化した。4年頃からは、中国漁船に加え、台湾漁船や第三国の貨物船を仕立てた事犯も出現して増加傾向をたどり、特に8年から9年にかけては、これらの形態による集団密航が急増した。10年には、従来の中国漁船等を仕立てて直接我が国へ密航してくる事犯及びこれらの船舶から本邦沖合で日本船に乗り換えて密航する事犯が減少し、貨物船の船内に隠し部屋を設けて潜伏してくる事犯、韓国沖合海域において中国船から韓国漁船に乗り換え、日本海側に上陸する事犯及び偽変造の船員手帳を使用し貿易船の船員になりすましてくる事犯が増加して、ますます悪質・巧妙化した。11年に入っても、引き続き、貨物船の船内に隠し部屋を設けて潜伏してくる事犯及び韓国漁船を使用した事犯が多発している。なお、韓国漁船を使用した事犯については、本年に入り太平洋側にも見られるようになった。

 これらの事犯においては、「蛇頭」と呼ばれる国際的な密航ブローカーが我が国暴力団や韓国の密航組織と手を組み、不法滞在者や漁業関係者等を抱き込んで、密航者の募集・運搬、我が国での住居手配及び就職斡旋に関与している。

 海上保安庁では、従来から、関係機関と緊密な連携を保ちながら不法入国事犯が発生するおそれの高い海域における監視警戒を強化するとともに、中国等ぐ犯地域から我が国に来航する船舶に対し、徹底した立入検査を実施することにより、密航者の発見に努め、密航事件の捜査においては、助長者等の有無を明らかにし、密航組織の全容解明を図ってきている。

 このような状況の中、増え続ける不法入国事犯に対応して、海上保安庁では、6年6月、本庁等に「不法入国対策官」を整備したが、特に8年12月から9年2月にかけて中国人の集団密航が多発したことから、9年2月には本庁に「密航対策室」、各管区本部に「密航対策本部」を設置し、関係機関との連携と情報収集体制をより一層強化するとともに、巡視船艇・航空機による本邦周辺海域における未然防止を含む監視・取締りを強化するなど、不法入国対策を強力に推進している。

 また、職員を中国等に派遣し不法出国者の取締り強化を申し入れるとともに、9年10月及び11年3月には中国側、10年2月及び11年3月には韓国側と、それぞれ海上取締機関協議を実施するなど、密航防止について、国外関係機関とも情報交換を行うなど連携強化に努めている。


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