皆様、はじめまして。
海上保安庁のT種採用者には様々なバックボーンを持った者がおりますが、その一例としてこういうキャリアパスもありますというご紹介させていただきます。
私は、大学及び大学院で数学(幾何学)を専攻してきました。海洋情報部のT種採用者では初めてのようです。しかし、元をたどれば、海図作成の基礎となる数学は幾何学と関連が深く、例えばメルカトル図法等の図法は、座標変換として古くから幾何学で扱われてきました。また、日本は水路業務法等で地球を楕円体として扱っており、楕円体上での幾何学の知見も重要です。
こうした知見も生かしながら、入庁してから2年間、そして2011年度から再び、我が国の管轄海域がどこまでなのか画定する業務を行っています。具体的には、領海基線の最新維持を行うと共に、各機関からの海洋境界に関する確認・作図依頼への対応をしています。自分の知見が生かされることで、遠く離れた海上に我が国の境界が引かれる、と考えた時、責任が重いことは勿論ですが、技術者として楽しいと感じました。
その後、海上保安庁全体の窓口である総務部政務課に異動しました。政務課では、科学技術案件についての庁内の窓口担当、海上保安レポート(白書のようなものです。)の編集、庁内の会議運営、事案対応(2010年は海上保安庁にとって色々な出来事がありました。)、幹部の会見や国会対応の業務等、様々な業務に微力ながら携わることが出来ました。このように、精密な内容の業務から、海上保安庁全体に及ぶ業務まで体験できたことは、公務員としてとても良い経験でした。
四年間で見聞きした全てが目新しく、今もまだ業務に飽きたということがあまりありません。また、私はあまり経験がありませんが、T種採用者の中には船上での海洋調査等の業務を頻繁に行う者もおります。私以外の業務紹介も参考にしていただき、キャリアパスを考える一助にしていただきたいと思います。
皆さんは海上保安庁といえば何をイメージするでしょうか。多くの人は映画「海猿」で描かれてるような捜索救助活動をイメージされると思います。学生時代の私も海保といえば、「海猿」、「トッキュー!!」しか思い浮かびませんでした。実際には、海上保安庁では海に関する事なら何でもやってると言っても過言ではありません。捜索救助はもちろんのこと、犯罪取締や領海警備のほか、海図の作成や海洋汚染の調査なども行っています。私が採用された海上保安庁交通部では、灯台などの整備や海上交通ルールの設定などを通して、船舶が安全に航行できるよう取り組んでいます。
私は採用から2年間交通部で灯台など航路標識の整備に関する業務に従事していましたが、現在は総務部政務課に所属し、海上保安庁の全庁的な政策の企画・立案に携わっています。海上保安庁では業務が多岐にわたっているため、常に庁内・他省庁との調整が必要であり、体力的にも精神的にも決して楽とは言えませんが、その分、一つの仕事を終えたときの達成感は計り知れないものがあります。また、日々新しい知識や情報に触れることができ、実に刺激的な毎日です。
官庁訪問を控えている皆さんの中には、学生時代の専攻を生かした業務に就きたい方や、訪問先を決めかねてる方もいらっしゃると思います。是非、海上保安庁へお越し下さい。当庁の幅広い業務の中から、きっと皆さんにぴったりの仕事がみつかるはずです。
はじめまして。私は入庁2年目を迎え、現在、航海情報課に所属しています。航海情報課では、名前の通り航海に関わる情報、例えば、海図や水路書誌、航行警報などを扱っています。これらの説明は海洋情報部のホームページに任せるとして、ここでは私の仕事に関係する「電子海図」の話をいたします。
電子海図とは、例えて言うと「海のカーナビ」です(正しくは電子海図と専用の表示装置のセットでこう表現しますが)。長所としては、他の装置と連動して自船や他船の位置を表示できることや、危険海域への接近時に警報が出ること、自動的に航海情報を更新することなどが挙げられます。
電子海図の歴史は比較的浅く、1990年代前半に国際基準が刊行されたのを受けて、日本でもこの基準に従って電子海図の刊行を行ってきました。ほんの2,3年前までは量の充実、つまり電子海図の刊行区域の拡大を中心に動いていました。しかし、2012年7月からの国際航海に従事する船舶のECDIS(電子海図表示装置)搭載義務化を踏まえて、ここ最近は質の向上を目指して動いています。これは日本の電子海図の大きな転換点となり、また、ユーザーの安全性・利便性に直結するものであるので、非常にやりがいのあるものです。
電子海図は世界共通の基準で刊行されているので、電子海図に関係する国際的な会議や集まりはいくつも存在し、必要に応じて日本からも出席者を出しています。私も入庁1年目の昨年にベトナムへ出張に行ってきました。この部署はごく自然に外国出張があるので、英語を生かして仕事をしたい方にはおすすめです。
今の仕事は、学生時代の専門である化学とは全く繋がりがありません。ですが、海図の作製に技術的関心を持ち、航海者の安全に対して責任を感じながら、日々取り組んでいます。これまで専門に携わってきた期間よりも、これから仕事に携わる期間の方が長く、しかも内容もずっと幅広いと思うので、きっと皆さんの適性にあった仕事が見つかるはずです。現在の専門に関係なく私たちの業務に少しでも興味を持ちましたら、是非官庁訪問にお越し下さい。