| 秋田海上保安部巡視船「ちょうかい」 平成15年1月5日、仕事始めで恒例の安全祈願を済ませた直後、「秋田県八森町沖で大型フェリーが機関故障。漂流中。」との情報が巡視船「ちょうかい」に入った。 |
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| 漂流しているフェリーは約17、000トン、乗客乗員490名、車両253台積載。エンジンに冷却水を送るポンプが故障したため、自力航行不能とのこと。 当時、秋田沖の天候は吹雪、西北西の風20メートル、波は6メートル以上の大時化であり、漂流方向・速度、予想される天候などを考えると、・・・夕方には能代市の海岸に乗り揚げてしまう! 総員吹雪の中を走って帰船し、直ちに出港。 「ちようかい」のほかにも函館から巡視船「つがる」、新潟から巡視船「えちご」が救助に向かった。船会社手配のタグボートは大時化のため出港不能とのこと。 |
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![]() 巡視船「えちご」 | ![]() 巡視船「つがる」 |
| 乗り揚げまでのタイムリミットは7〜8時間。現場までは凪のときでも3時間はかかる。「つがる」と「えちご」の現場着はタイムリミットには間に合わない。 既に東京・羽田の特殊救難隊や航空自衛隊秋田救難隊などへの救助手配も行われているが、保安部からは「現状では、ちようかいだけがたよりです」の悲痛の叫び。 |
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![]() 巡視船「ちょうかい」 |
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| 荒天のため前部甲板に青波が打ち込み、機関砲のカバーがまず裂けた。次にレーダー2基の内1基が動かなくなった。船内備付の本棚が落ちてきた。 船橋ではフェリーを曳航する手順や接近方法などの打合せが行われており、 船長・菅原規之はその場で檄を飛ばした。 「万難を排し、フェリーの乗揚げを阻止する。フェリーと乗船者の安全を守るために全力を尽くせ。きわめて危険を伴う命がけの作業となるので、覚悟して作業に当たるよう乗組員に伝えよ。速力を上げろ。」 |
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![]() 「すいせん」まで数マイル・・ |
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| 午後2時過ぎ、「すいせん」まであと数マイルとなったとき、乗組員は、再度気合を入れなおし、フェリーを曳航するための準備に取り掛かった。 そのときであった。後部甲板に出た作業指揮の首席航海士・佐藤始は言葉を失った。 見れば甲板に備付けてあったステンレス製の要具箱が青波で架台ごと吹っ飛び、ロープリールがぐにゃりと曲がって台座にめりこんでいた! | |
![]() 台座にめりこんだロープリール |
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甲板への波の打ち込みを最小限にするため速力を落し、船を風に立てるなか、後部甲板ではライフラインにすがりながら曳航装置やもやい銃の準備が進められていた。 曳航準備が整い、「すいせん」への接近を開始した午後 2時20分、「すいせん」から、「応急修理の結果、エンジン2基の内、片方が何とか使用可能になった。自力で船川(秋田県男鹿市)沖へ向かうが、引き続き警戒をお願いしたい。」との連絡が入った。 午後2時40分、「すいせん」は自力で航行を開始した。速力は時速約5ノット。船川到着は午後9時頃となる。秋田へ直航しても深夜、吹雪の中で入港するのは危険なため、一旦手前の船川で荒天をやりすごし、秋田へ入港することになった。 これで一応、最悪の事態は免れた・・・。 | |
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しかし安心するのはまだ早い。完全に修理が済んだわけではない。 途中で再び航行不能になれば、男鹿半島に乗揚げる危険性もあるため、本船も曳航部署発動のままで「すいせん」に伴走して船川沖へ向かう。 幸い、再び故障することなく「すいせん」は航行を続け、午後9時過ぎ、船川沖に錨を下ろした。 翌6日朝6時30分、「すいせん」は秋田へ向かい、午前9時、タグボート2隻にエスコートされて秋田港フェリー岸壁に着岸した。 着岸までの間、船川から秋田港口までは巡視船「えちご」と本船、港口から岸壁までは「えちご」の搭載ヘリコプターと巡視艇「すぎかぜ」により警戒を行った。 |
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![]() 「すいせん」(後部から) |
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| フェリーが無事に着岸したことを受けて任務解除となり、自船船体の損傷状況の調査と仮復旧を行った後、原発警戒のため、わが巡視船「ちようかい」は能登半島方面へ向かった。 「すいせん」は、秋田で下船を希望する乗客を降ろし、冷却水ポンプの修理を行った後、午後3時40分、目的地である敦賀向け出港した。 当日午後6時頃には、まだ風浪の残る山形県飛島沖を減速航行中の本船の横を時速約26ノットで快調に追い越していく「すいせん」を見て本船の船橋では同船の安航を確信したのであった。 |
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