V 海上紛争等の警備と警衛・警護等


1 海上紛争等の警備

 11年は、外国艦船の入出港に伴う警備、核物質の海上輸送に伴う警備、原子力発電所及び空港の建設に伴う紛争等に関連した警備、米軍施設・区域に係る警備等合計636件を実施した。

 空母キティホーク等米国軍艦の入出港、MOX燃料運搬船パシフィックティール、パシフィックピンテールの入出港に対する抗議行動等に見られるように、米軍に係る動向、核物質の海上輸送等に対する反対運動は、依然として活発に行われている。9年6月の「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)見直しの中間報告の公表後は、米軍艦船の本邦寄港等を、ガイドラインの先取りととらえた反対運動が活発に行われており、11年5月ガイドライン関連法案が国会で可決されたことから、反対運動は更に活発化の兆しを見せている。

<事例>

 欧州からのMOX燃料海上輸送は、世界的な環境保護の動き及び我が国の原子力政策に対する関心が高まりをみせる状況下において、11年7〜10月にかけて実施された。MOX燃料輸送船パシフィックティール及びパシフィックピンテールの福島第一原子力発電所及び高浜原子力発電所入港に際して、海上においては、環境保護団体による激しい抗議行動や漁船約80隻による海上デモが実施された。

 海上保安庁では、巡視船艇等延べ623隻、航空機11機による大規模な警備を実施した。

 また、12年7月には革労協が九州・沖縄サミットを標的として米軍横田飛行場へ向けて金属弾を打ち込む事件を引き起こすなど、過激な行動をとる集団によるテロ・ゲリラ行為も依然として行われており、海上でのテロ・ゲリラの可能性も懸念される。

 このため、海上保安庁では、警備実施強化巡視船(警備実施体制の整備・強化を図るために特に指定した巡視船)を始め、巡視船艇・航空機による警備実施訓練・研修を行うなどにより、警備実施体制の強化を図り、海上における公共の安全の確保と秩序の維持に努めている。

2 警衛・警護

 11年は、天皇皇后両陛下の第19回全国豊かな海づくり大会(福島県)御臨席に伴う警衛を始め天皇陛下及び皇族方に対する警衛57件、国内外要人に対する警護49件を実施した。

 特に、11年5月の西瀬戸自動車道開通式典に際しては、巡視船艇延べ101隻、航空機延べ4機を投入するなどして、皇太子同妃両殿下の安全を確保した。

3 特殊警備事案への対応

 海上保安庁では、11年3月に発生した能登半島沖不審船事案等の教訓を踏まえ高度な知識及び技術をもって対処する必要のある特殊な警備事案に対処するため、12年度から本庁警備救難部警備第二課に特殊警備対策室を設置した。

 また、海上保安庁では、シージャック、サリン等の有毒ガス使用事案等高度な知識及び技術を必要とする特殊な海上警備事案に迅速かつ的確に対処するため、大阪特殊警備基地を設置している。同基地では、特殊警備隊が、能登半島沖不審船事案、地下鉄サリン事件、在ペルー日本大使館公邸占拠事件等の発生を踏まえた所要の訓練を実施しており、24時間体制で海上における特殊警備事案の発生に備えている。

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