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交通の安全を守る 
 我が国の周辺海域では、海上輸送活動、漁業活動、マリンレジャー等様々な活動が盛んに行われていますが、毎年、全国で2300隻前後の船舶海難が発生しています。
 ひとたび船舶海難が発生すると、尊い命や財産が失われたり、また、我が国の経済活動や海洋環境にも影響を及ぼすなどその被害が甚大なものとなることもあります。
 第五管区海上保安本部では、船舶海難を減少させるため、海上交通ルールの指導、航路標識の設置等を通じて船舶の安全かつ円滑な航行の確保に取り組んでいます。


1 海難の現況

(1)海難隻数と死亡・行方不明者の推移

 第五管区内における平成26年中の海難船舶隻数は249隻と、前年に比べ35隻減少しました。過去10年間では、東日本大震災の影響で海難隻数が大幅に減少した平成23年(226隻)の次に、少ない隻数となりました。
海難総隻数249隻のうち、死者・行方不明者を伴う海難が8隻、死者・行方不明者13人(前年6隻、7人)となっており、8隻のうち7隻が小型船舶(プレジャーボート、漁船、遊漁船)の海難によるものとなっています。
海難隻数と死亡行方不明者の推移




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(2)海難種類別推移
 
 海難種類別に見ると、前年同様に衝突が91隻と最も多く発生しており、前年から11隻減少していますが、全体(249隻)の約37%を占めています。原因として、見張り不十分、操船不適切などの人為的要因の比率が高くなっています。
次いで、機関故障が38隻と、前年から1隻減少してはいますが、全体の約15%を占めています。原因としては、整備不良や機関取扱い不注意などの比率が高くなっています。
その他に、乗揚げが36隻と、昨年と比較して6隻増加し、原因として、見張り不十分、操船不適切、船位不確認、水路調査不十分などの人為的要因の割合が高くなっています。
海難種類別推移
用途別推移グラフ
 

(3)用途別推移
 
 用途別に見ると、例年、プレジャーボートの隻数が132隻と突出しており、平成26年では船舶海難全体の約53%にも上ります。次いで漁船が44隻、約18%となっています。プレジャーボートと漁船で船舶海難全体の7割を占めています。
 10年連続で、プレジャーボートはワースト1、漁船がワースト2となっています。
用途別推移
用途別推移グラフ
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統計等の資料ページはこちら


2 ふくそう海域・港内の安全対策

 第五管区管内には、日本でトップクラスの船舶交通量がある明石海峡及び友ヶ島水道、そして鳴門海峡などの交通の要衝が多く、明石海峡・友ケ島水道そして、これに繋がる大阪湾など、ふくそう海域における船舶交通の安全確保を図っています。(管内には606基の航路標識を設置し、保守、管理を実施)

 ふくそう海域においては、我が国の海域特性や交通ルールに不案内な外国船等が基本的な交通ルールを守ることができず、これが原因とした海難が後を絶たない状況にあることから、海上交通センターにおいて、航行船舶の動静を把握し、船舶の安全な航行に必要な情報の提供や大型船舶の航路入航間隔の調整を行うとともに、巡視船艇と連携しながら不適切な航行をする船舶に対する指導、海上交通関係法令に違反した船舶に対する取締り等を実施しています。


 管内通航船舶の航跡図 (1)管内通航船舶の航跡図

 大阪湾及び紀伊水道・四国沖におけるAIS航跡図。赤い線が船舶の通航した航跡。





 明石海峡航路東口付近の衝突事故 (2)明石海峡航路東口付近の衝突事故

 平成20年3月に明石海峡航路東口で発生した3隻の船舶による衝突事故。この事故で、1隻が沈没、3名が亡くなり、1名が未だ行方不明となっています。


新たな交通ルール導入後の変化 第五管区海上保安本部では、衝突事故の再発防止策として、航路入口付近の複雑な行き会い関係を改善したところ、航路への出入りが整流され、複雑な行き会いが緩和されました。

・西航路は大角度変針することなく航路に沿って緩やかに入航。
・西航路と東航路の行き会いは東側の広い海域にシフト。

 

大阪湾海上交通センター (3)大阪湾海上交通センター

 1日800隻を越える船舶の通航量を誇る明石海峡航路において、船舶に対する情報提供などを行っている大阪湾海上交通センター。

 船舶交通の多い明石海峡においては、大阪湾海上交通センターから、船舶の管制を実施するとともに他船の動向や気象状況など海上交通情報の提供を行っています。

 船舶が安全で効率的な航行ができるよう、水路測量や海象観測など海洋調査を実施し、海図等の最新維持を図るとともに、港湾工事やヨットレース、海上で行われる各種訓練など海上交通の障害となる情報を「水路通報」や「航行警報」により提供しています。

時間帯別通航隻数 大阪湾海上交通センターのレーダー観測による時間帯別主要船舶通航隻数
 大阪湾海上交通センター運用室

(4)大阪湾海上交通センター運用室

 同センターでは、AIS※を活用した航行支援システムを導入して効果的な航行指導や乗揚げ防止等の情報提供を行い海上交通の安全確保に努めています。

 
写真
明石海峡をしょう戒中の巡視船

海上交通センター(マーチス)とは

 海上交通安全法や港則法で定められた航路・海域において、海上交通に関する航行情報の提供及び航行管制の業務を行う部署です。Marine Traffic Information Service の頭文字をとり、MARTIS(マーチス)とも呼ばれます。 英語表記は、Traffic Advisory Service Center。

大阪湾海上交通センター・ホームページ

 
AISとは
(Automatic  Identification  System)

船舶の情報等を自動的に送受信し、船舶相互間及び船舶・陸上施設間において情報交換を行うシステム。

【AIS搭載義務船舶】
・国際航海に従事する旅客船及び総トン数300トン以上の船舶   (旅客船を除く。)
・国際航海に従事しない総トン数500トン以上の船舶
 


3 海難防止対策

 近年の船舶の海難発生状況をみると、見張り不十分や操船不適切など、人為的要因による海難が多発していることから、海難防止に関する意識を高めることが重要となっています。
このため、海難防止講習会や訪船指導等あらゆる機会を通じて海上交通ルールの遵守、安全航行の励行を指導しています。
 また、五管区管内では、明石海峡周辺海域や播磨灘、大阪湾など、イカナゴ漁・のり養殖などに代表されるように、漁業活動が盛んであるうえ、貨物船やプレジャーボート等の通航船舶も非常に多く、地域特性に合った情報提供や指導を行うなどの安全対策を実施しています。


(1) 海難防止協調運動
 毎年、7月16日から7月31日まで、全国海難防止協調運動を実施しています。
 
(2) 海難防止講習会
 漁業協同組合、マリーナ等海事関係者の安全意識の高揚及び海難防止に関する知識・技能の取得及び向上を図るため、船舶の種類に応じたきめ細かな講習会を実施しています。
 また、各地域において、ライフジャケット着用キャンペーンを推進したり、ライフジャケット着用モデル漁協を指定するなどして、死亡者0を目指した活動も行っています。

 
(3) 訪船指導、その他
 地域や船舶の種類等に応じた海難防止対策用パンフレットなどを作成し、実際に訪船して配布するほか、イベントでの配布や各種安全指導などで利用しています。また、広くテレビやラジオへの番組出演による安全意識高揚に関する呼びかけを行ったり、春先など霧多発時期においては注意事項をインターネット・ホームページに掲載するなど、機会を捉えて積極的に広報を行っています。
 
(4) 地域・季節・船舶の種類等、特性に応じた海難防止対策
 第五管区海上保安本部では、狭水道特有の地形や潮流等の特性、春先に多発する霧や「のり、わかめ」養殖、イカナゴ漁などの季節性、船舶の種類など、それぞれの特性に応じたきめ細かい海難防止対策を提唱し、海難0を目指しています。 
 特に明石海峡周辺海域は、イカナゴ漁やタコつぼ漁、のり養殖などに代表されるように、漁業活動が盛んであるうえ、巨大船や一般貨物船など様々な通航船舶が非常に多いことから、漁業活動状況等の情報提供を行うなどの安全対策を行っています。
  
 「のり、わかめ」の養殖漁場図
 1 「のり、わかめ」の養殖漁場図

 毎年9月から翌年5月ころまで、大阪湾及び播磨灘に設置される「のり、わかめ」の養殖施設。

 船舶の通航路近辺に多数設置されており、これら定置網などに乗揚げる(絡網する)船舶が多いことから、当該時期に航行する十分留意する必要があります。



定置漁具の敷設状況 
 

 イカナゴ漁船の操業状況を示すレーダー画像
 2 イカナゴ漁船の操業状況を示すレーダー映像



 明石海峡航路東口付近で操業する漁船の状況。

 特に、毎年、2月末から4月初旬にかけては春の風物詩であるイカナゴ漁が始まり、最漁期には1日に約230隻の漁船が操業するなど、付近海域がふくそうします。
イカナゴ漁の季節、明石海峡付近を航行する船舶は特に留意する必要があります。

 イカナゴ漁船特有の操業方法など、留意すべき事項については、下記リンク先の資料をご覧ください。

イカナゴ漁について 


霧にかすむ明石海峡
霧にかすむ明石海峡
3 霧五戒

 第五管区海上保安本部では、4月から梅雨にかけて多発する霧による海難防止のため、次の5つの対策を提唱しています。

1 気象状況を早期に把握すべし
      Grasp weather conditions early
  2 国際VHFを常時聴守すべし
      Keep watch on VHF(ch16)
  3 航法を守るべし
      Observe conduct of vessels in restricted visibility
  4 自動操舵装置は適正に使用すべし
      Use an automatic pilot properly
  5 早期に避泊すべし
      Anchor early in the safe sea area 

       霧五戒のページはこちら

霧情報(霧通報)(大阪湾海上交通センター提供) 


鳴門海峡大橋

鳴門海峡大橋
4 鳴門七則

 第五管区海上保安本部では、海峡の幅が狭く潮流が複雑かつ極めて強い、日本有数の船舶交通の難所である鳴門海峡について、当該地域特有の留意事項を七則としてまとめ、通航船舶に広く海難防止対策を呼びかけています。

1 通航前に気象・海象を十分調べよう。
2 霧や視界不良時の無理な通狭は止め、回復を待つ勇気を持とう。
3 強潮時の無理な通狭は止め、潮流のたるみや弱いときに通ろう。
4 大鳴門橋の中心灯の右側をできるだけ橋軸と直角のコースで航行しよう。
5 潮のたるみには漁船が海峡内で多数操業する傾向があるので、安全な速力で航行するとともに、必要に応じて汽笛等により
注意喚起して通狭しよう。
6 橋に設けられた航行援助施設があるので十分活用しよう。
7 『霧通報』を活用しよう。 

鳴門七則のページはこちら

その他、鳴門海峡を航行する場合の留意事項

霧情報(霧通報)(大阪湾海上交通センター提供) 
 

 マリンレジャー安全情報5 マリンレジャー事故防止対策

 第五管区海上保安本部では、多種多様なマリンレジャーに対する安全対策として、プレジャーボートや水上オートバイなどの多様な船舶種類に応じた海難防止対策を提唱し、さらに人身事故防止対策や気象・海象(潮汐・潮流)等の情報提供を総合的に行うため、警備救難部救難課に「マリンレジャー安全推進室」を設けて、交通部における船舶交通安全対策や気象情報の提供、海洋情報部による海象情報提供などと併せて、きめ細かいマリンレジャー事故防止対策を講じ、海難0を目指しています。

マリンレジャー安全情報(総合ページ)   
 
  

改正・港則法及び改正・海上交通安全法による海上交通ルールの変更と指導の徹底

 平成22年7月1日、港則法及び海上交通安全法の一部が改正され、海域特性に応じた新たな航法の設定や船舶の安全な航行を援助するための措置の実施など、海上交通安全確保のためのルールが変更されました。

PDF版リーフレット
日本語        全国総合版
英語(English)
中国語
韓国語



4 航行の安全のための情報提供

 航行の安全確保のため、気象情報、船舶交通の支障となる航路障害物、海上における工事・作業、射撃訓練などの様々な情報を、インターネットホームページ等により情報提供を行っています。


 MICS (1)MICS(沿岸域情報提供システム)
による情報提供


 貨物船やタンカー、カーフェリーなどの一般船舶やモーターボート、漁船に乗る人、磯釣りなどのマリンレジャーを楽しむ人など、全ての人に対してリアルタイムで気象海象情報など、海の安全に関する情報を提供しています。
 
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最終更新日:2015年8月17日 14:52

交通の安全を守る を担当する部局
  交通部

 船舶交通の安全を確保するため、書く海域における安全対策、航路標識(灯台等)の建設・保守・運用、海の安全に関する情報提供を主とした仕事を行っています。

  詳しくはこちら

 海のもしもは118

海のもしもは118 
 

海上保安庁では、海上における事件・事故の緊急通報用電話番号として、局番なしの3桁電話番号 「118」 番の運用を行っています。

次のような場合に通報をお願いします。

・ 船舶衝突や転覆、乗揚げ等
の海難事故
・ 海で人身事故に遭遇、または
目撃した
・ 不審船を発見した
・ 密輸・密航事犯の情報を得た

など

お電話の際は、「いつ」 「どこで」 「なにがあった」 などを簡潔に、落ち着いて通報してください。


 詳しくはこちら

 
 マリンレジャー安全推進室

第五管区海上保安本部
 警備救難部 救難課
  マリンレジャー安全推進室
  
  電話 078-391-6551(代)