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機関や関連機器を手入れしましょう。 

 五管区内におけるプレジャーボート海難のうち、機関故障による海難は約20%を占めており、統計では5月から増加する傾向にあります。 マリンレジャー最盛期を迎える前に、今一度、機関の手入れをしましょう。 

 機関故障の内容を分析したところ、機関故障の原因は  
  機関の取扱不備や部品の老朽によるものが約80%  
を占めており、  
   運航前の点検整備により、機関故障を防ぐことができる  
と思われるものが大半でした。

 機関故障の原因を分析すると、大きくに分類できました。

1 燃料系のトラブル
2 冷却水系のトラブル
3 電気系のトラブル
4 駆動系のトラブル

 それでは1つずつ順番に内容を見ていきましょう。

1 燃料系のトラブル
   燃料やタンク内に含まれる不純物が詰まった  13隻
   燃料配管中に空気が混入した  8隻

   燃料中に水や海水が混入した  5隻

2 冷却水系のトラブル
   インペラの破損  11隻
   冷却管路にゴミや海中浮遊物が詰まった  7隻
   Vベルトの破断  5隻
   冷却水の漏れ  3隻

3 電気系のトラブル
   プラグ、バッテリーやスイッチの接触不良  12隻
   セルモーターの破損  4隻
   浸水による漏電や制御機器使用不能  3隻

4 駆動系のトラブル
   クラッチやアクセルワイヤーの切断、動作不能  6隻
   クラッチ板の損傷や摩耗  5隻

 赤字の部分が、運航前の点検整備で防ぐことができたと思われるものです。

 

機関故障海難を防ぐための点検ポイント

1 燃料系
   燃料タンク内の洗浄とフィルターの点検・交換出航前に燃料タンク周辺の確認も忘れずに

  船舶を長年使用していると、結露や海水の侵入により燃料タンク内に水が溜まり、錆が発生し、燃料フィルターを詰まらせたり、水がエンジン部に入り、機関が停止するような事態が発生します。
  このため、定期的に燃料タンクの洗浄とフィルターの清掃を行うよう、心がけましょう。
  また、燃料をタンク内に入れっぱなしにしていると、燃料分に含まれる不純物がタンク内に沈殿し燃料フィルターに詰まることもありますので、それを防ぐためにも、燃料タンクの洗浄は有効な手段です。
  次に、ディーゼル機関では、燃料中に空気が混入するとエンジンが停止したり起動できなくなることがあります。
  このような場合には、空気を抜く作業が必要となるので、運航前に取扱説明書を熟読し空気を抜く訓練をしたり専門業者に伺うなどして、いざというときに慌てないようにしてください。
  船舶は時化になると激しく動揺するので、その際に燃料が少ないと空気が混入し、エンジンが停止することがあります。激しく動揺する船内で空気抜きを行うのは非常に困難ですから、常に燃料に余裕を持って航海することも防止策の一つです。

2 冷却水系
   インペラ、冷却水ポンプのベルトの点検及び定期的交換
   冷却管路の清水洗浄

  インペラやVベルト(タイミングベルト)はゴム製ですので、定期的な点検と交換が必要です。まず取扱説明書で交換サイクルを確認し、適切な時期に交換してください。また交換時期に至る前でも、冷却水ポンプの取り付けボルトが緩み、ポンプの位置がズレたことによって、ベルトの片減り、外れや破断に至ることがありますので、ボルト類の緩みにも注意が必要です 。
  船舶エンジンの冷却水は海水です。冷却管路に海水が入ったままだと、管路内に錆が発生し、管路を詰まることがありますので、管路内の海水を抜き清水で洗浄することも管路を詰まらせないための有効な手段です。
  冷却水は船外の取り入れ口から入ってきており、そこにビニールなどのゴミが詰まると、冷却水を取り入れることができず、オーバーヒートを起こします。 ゴミの浮いている箇所は避けて航行するなど、「ゴミが詰まって故障がおこることもある」という意識を持って航行することも大切です。 
  水上オートバイでは、砂浜の波打ち際を行き来していると、冷却管路に砂が入り込み、インペラの損傷や管路が詰まったりすることがありますのでご注意下さい! 

3 電気系
   各配線の接続状況の点検

  バッテリーターミナル、プラグコード、キルスイッチ(エンジンを止めるための赤色のスイッチ)に、接触不良や配線がひび割れていないか確認してください。 
  バッテリーの比重を確認することも大切です。バッテリーは充電しないと減っていく一方ですから、久しぶりに運航する船舶は、まずバッテリーを確認し、比重が低ければ充電、購入から年月が経過しているようでしたら、思い切って交換することをお勧めします。
  水は電気の大敵です。海水や雨水が電気系統にかからないようカバーなどで防水したり、荒天時には機関室内が浸水しないよう開放部を閉鎖するなど、基礎的なことを行うだけで電気系統への浸水は予防できるでしょう。 

4 駆動系
   ワイヤー類の定期的交換
   駆動系統の分解点検

  クラッチやアクセルワイヤーに海水が付着すると、錆が発生し、アクセルを操作しても反応が鈍かったり、最悪はワイヤーが切れたりします。ワイヤー類も消耗心として考え、アクセルやクラッチが重いと感じたときは、点検・交換をお勧めします。
  駆動系を外観点検する際には、スクリューの取り付けピンが抜け航行不能になることがあることから、ピンの状況確認を忘れないようにしてください。
  駆動系の故障は分解しないとわかりにくい部分が多いので、何年かに1度は分解点検されることをお勧めします。
  また、急発進・急停止をしないようにするだけで駆動系の負担を減らすことができますので、人と船に優しい操船を心がけましょう。


エンジン種類別 の 海難原因の傾向

  プレジャーボートのエンジンは、大別すると船内機、船外機、船内外機の3種類に分類でき、それぞれ種類別の海難原因の傾向は次のとおりです。

船内機船内機
 燃料系(18隻)、冷却水系(17隻)のトラブルが多い。


船内外機船内外機
 冷却水系(8隻)のトラブルが多い。


船外機船外機

 燃料系(15隻)、電気系(14隻)のトラブルが多い。


   船外機は、エンジン部分が船外に露出していることからメンテナンス性に優れている反面、海水や潮風等にさらされやすく、配線類が痛んだり、浸水により接触不良等を引き起こしやすいことも電機系のトラブルが発生する一因であると考えられます。 



 

参考資料


プレジャーボート機関故障発生月統計(平成14年-18年)






プレジャーボート海難種類別統計(平成14年-18年)
 

最終更新日:2012年2月16日 12:08

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