マリンレジャーに関する注意事項

波と潮の流れ

海に行ったら、先ずしばらく波を観察しましょう。すると、波の大きさには周期があることに気付くはずです。波は、100回に1回は平均波高の1.4倍の高さの波が、1000回に1回は平均波高の2倍の波が発生します。例えば、今の波が平均より弱いとすると、次は今の波より2倍、3倍の波が来るかもしれないので、波の周期をよく見て、波が高いときにはより高い場所に移動するか、海岸で遊ぶことを止めましょう。砂浜の海岸では、特に引き波に注意が必要です。波打ち際で立っているときに波が引くと足下の砂が波で運ばれ、えぐれてしまいます。そのため、波自体は、たいしたことがなくても大人でも簡単に転倒してしまうことがあります。特に、遠浅の海域では、大波が打ち寄せてくるので、遊泳者のみならず釣りを楽しむ方も注意が必要です。波と戯れて遊ぶことや磯釣りをすることは、とても楽しいことですが波が小さいからといって安心することなく、救命胴衣を着用したり、海岸に設置されている看板に注意して危険な所には近づかないようにしましょう。

沿岸部で遊ぶ者にとって怖いのは、黒潮のように一定の流れを持つ海流よりも、潮の干満により発生する潮流です。これは、潮の流れる方向や速度が一定でない場合が多いからで、一般的に、潮流は、岸の近くや広く開かれている所では穏やかですが、鳴門や関門海峡など岬の突端や島と島の間のように狭くなっている所では時速10km前後になることもあり、船舶でも航行困難となることさえありますので、干満の差の大きい所やチョークポイント(海が急に狭くなっている所)となっているような所などでは、十分に注意する必要があります。

海岸へ寄せる波が波打ち際で砕けた後、川のように沖へと引き返す流れを離岸流といい、海の状態や風向きによって状態は異なりますが、平坦な海岸では150~300メートル間隔で発生します。流速は、毎秒1メートル前後で、速いものは、秒速約2メートルにも達し万一巻き込まれると瞬時に沖へ流されてしまうので、水泳選手でも流れに逆らって泳ぐことができなくなるほどの速さです。

日本ライフセービング協会によると、離岸流は、

  1. 永久型(何ヶ月でも同じ場所に存在)
  2. 固定型(数時間または数ヶ月間、同じ場所に存在)
  3. 一時型(一時的に発生して短時間で消滅)
  4. 移動型(風や波などの流れの影響を受けて移動)

の4種類に大別でき、永久型や固定型の離岸流が発生している場所には遊泳禁止の看板が出ていることが多いのですが、一時型と移動型は、全国どこの海水浴場でも発生する危険性があります。離岸流にさらわれた場合の対処方としては、離岸流帯に入ると30~150メートルは沖に流されますが、それ以上は沖には行かないので、泳ぎに自信のない人は離岸流から離れるように、岸と平行に泳ぎ、流れのないところまで行って岸に戻りましょう。また、泳ぎに自信のある人は、岸に早く戻れるように、流れに対して約45度の角度で岸に向かって泳いで下い。ある程度流されれば離岸流の勢いが止まることを知っていれば、助かるケースが多くあります。知識がないとパニックに陥って、流れに逆らって泳ぐため、体力を消耗して溺れてしまうので、冷静に行動することが肝要です。離岸流が多数発生している渥美半島の遠州灘沿いの海浜は、そのほとんどが遊泳禁止となっていますので、ご注意下さい。また、各所の離岸流については、最寄りの海上保安部署、地元の方、ライフセーバー(赤と黄色の2色の帽子を着用)などにお尋ね下さい。

波と風の関係

昔からの船乗りの間では、「所の風を知ることは肝要なり」との言葉がありますが、これは、風が地形によってどのように変化するかということを知っていることが重要であるとの意味合いです。風速は、風と地表面との摩擦の大小でかなり違ってくるので、仮に摩擦の大きい内陸部の風速を1とすると、一般に海岸付近では約1.5、沖合では、約2になります。つまり家を出かけるときに風が穏やかでも、いざ海水浴場についた時には風波が大きいということもありますので、注意しましょう。

風速や風向は、地形によってかなり変化します。岬の先端では風が強く岬の風下側では風が弱くなって、風向きが反対になることさえあります。風は、水道や海峡に沿って吹きやすいので、そこでは風が強くなりますこのようなことは、天気図からはなかなか解らないものですので、注意してください。

目測による風速と風力の目安として気象庁風力階級表があります。この表から風力を判断し、また、所の風を知り、体力とそれぞれのマリンスポーツに必要な技術にあった基準を決定して下さい。「己(体力・技術)を知り敵(自然)を知らば百戦危うからず」という諺の意味を十分噛みしめましょう。

うねりは、その場所で直接起こされた波でなく、遠く離れた場所で発生し、他の静かな海域に進んできた波で、伊勢湾内で発生するうねりは湾外から進入してきたものです。

うねりは、驚くほど遠くまで伝わることがあります。例えば、サーフインで有名なハワイのワイキキの海浜に、南極海の暴風圏で発生した波がうねりとなり届いたと言われています。

土用波は、夏の土用のころに、遙か離れた台風によって作られた波がうねりと、なって日本の海岸にうち寄せてくる大きな波です。したがって、台風の発生が多くなる夏の終わり頃には、海水浴場の天気が良い場合でも、遠く離れた台風のうねりにより、波が高くなることもありますので、十分な注意が必要です。

水深が次第に浅くなるような海浜では、波の持つエネルギーが次第に狭い範囲に集まり、その結果、岸に到達する時には大波になるので注意が必要です。

遠州灘と伊勢湾の流れ特徴

海上における法秩序の維持

遠州灘の流れは、沖合の黒潮本流は沖合を西から東へ蛇行しながら流れますが、沿岸部では、一般的に本流から分岐するY潮と呼ばれる逆流の影響で東から西へ流れます。更に風潮流が一体となったときの流れは、想像以上に速く、先に述べた離岸流と重なりあって複雑な流れとなります。遠州灘は、冬期に西風が強く、夏期には南風が急に吹き出して大波を起こします。特に台風の際に難所として恐れられています。

伊勢湾

伊勢湾の流れは、潮流が主で、潮流の主流部は、ほぼ湾の最深部に沿って流れ、ほぼ南北に1日2回の周期で伊良湖水道から出入りします。伊良湖水道の潮流は、強い時で、3ノット(5.5km/h)近くに達します。潮流以外の流れとして、恒流や河川水の流入による表層の流れ及び風に伴う流れがあります。恒流とは、海水の密度差・風や地形の影響、河川水・外洋水の流入により生じた非周期的な流れ及び長周期の潮流等の流れを言い、伊勢湾の夏場の恒流の特徴としては、湾北部及び中央部では、時計回りの環流が見られ、湾南部においては、反時計回りの環流が見られます。実際の夏場の伊勢湾の流れは、これらの潮流・恒流及び夏場に伊勢湾で卓越する南東風の連吹に伴う流れが複雑に組み合わさって形成されています。

「灘」とは

昔から海・潮流の流れが速いところ、あるいは風波が激しいところで航海が困難な海域を「灘」といっています。地方地方で○△灘と呼んでいる狭い海域がありますが、愛知、三重県にはには、以下の「灘」があります。遠州灘:御前埼(静岡県)~伊良湖岬(愛知県)の沖合海域 熊野灘:大王埼(三重県)~潮岬(和歌山県)の沖合海域 

マリンレジャーに関する具体的注意事項

マリンレジャーによる事故を防ぐため、海上保安庁では自己救命策として、 以下の事項を推奨しています。

海上に浮くこと即ち救命胴衣の着用

自分が海中に転落若しくは漂流した場合には、まず、大きく深呼吸をしましょう。人は、このような場合、パニックに陥っています。自分を冷静に見直すことが一番重要であり、水中で運動すればするほど体熱が奪われエネルギーのロスとなりますので、船上は基より、海中に転落する恐れのある場合には、常に救命胴衣を着用して、海中に転落した場合には、海上に浮くことに努めましょう。救命胴衣は海のシートベルト、あなたの命を救います。

連絡手段を持つこと即ち携帯電話の携行(防水パック利用)

救命胴衣を着用せずに仲間が海中に転落・漂流した場合は、早急に浮力を維持できる物品等を投入します。次に漂流者の位置及び状況に把握の努めて、携帯電話等により海上保安庁に連絡して下さい。携帯電話は命綱、あなたの命を繋ぎます。

救助の要請をすること即ち118番の活用

事故発生の早期通報が迅速な救助活動につながります。「海のもしも」の場合は、迷わず118番に通報して下さい。118番はホットライン、あなたのもしもを助けます。

人工心肺蘇生法(CPR)を身につけよう

呼吸停止、心臓停止に陥った人に人工呼吸と胸部圧迫を施して蘇生を試みる方法を人工心肺蘇生法(CPR Cardiopulmonary Resuscitation)といいます。日本救急医療財団が作成したCPRの指導用マニュアルでは、「心臓が停止した傷病者に対して4分以内に心臓マッサージが行われ、8分以内に救急隊員などに引き継がれれば、救命率は高い。」と説明しています。また、命を救うだけではなく、脳に後遺症を残さないためにもCPRの意義が大きいので、是非ともCPRを習得してください。最近、CPRのガイドラインが改正され、日本医師会や学者等が参加する日本救急医療財団の「心肺蘇生法委員会」が解りやすく編集した冊子があるので、是非、一読を。問い合わせについては、同財団 TEL:03-3838-0099まで連絡してください。

「ハイポサーミア(低体温症候群)」って知ってますか?

長時間水に浸かっていたり、濡れたまま風にさらされていたりすると、体内の温度が下がり、体温維持に支障をきたして発症する病気がハイポサーミアです。人間は、体温維持ができなくなると、意識障害、代謝機能障害などに陥ります。初期段階では、濡れた衣服を取り替えたり、毛布を掛けて保温するといったケアで、体温の自力回復が図れますが、中・重度になると自力回復は難しく、生命の危険まで招くこともあります。子供、老人、飲酒者などは、これに早くかかりやすく、身体全体の震え唇の紫変色、煩尿などが初期症状です。すぐに水から上がり、着替えて安静にして体温の回復を待ちましょう。予防策として、定期的に水から上がる、休息を取る、熱源(食べ物)の補給をまめにするなどがあります。

水温躍層

夏期は、海面からの加熱が著しいため、普段より海面付近と海面下の深いところでは、温度差が大きくなります。したがって、表面水温が暖かいからといっていきなり深く潜ったりすると突然水温が低くなり、心臓マヒの原因にもなりかねないので注意が必要です。

津波避難の心得(過去に助かった人の経験による)

津波の伝わる速さ

外洋の水深2000mの洋上においては、津波の速さは秒速140m、即ち時速500kmで新幹線の約2倍の高速です。

防波堤前面の水深10mの海浜においては、津波の速さは秒速約10mとなり、オリンピック選手並です。

伊勢湾内の津波の伝達時間は下図のとおりです。

太平洋から進入した津波が、湾内を伝わる様子

tsunami.gif
気象庁提供資料

【外洋を伝わる津波の速さ=√gh】   g:重力加速度(9.8m/s2)、h:海の深さ
海の深さ(m) 100 200 500 1000 2000 4000 6000
津波の速さ(km/h) 113 159 252 356 504 713 873

海で遊ぶ場合の注意

海浜に出かけるときや船で遊ぶときは、地震津波に普段から関心を持ち携帯電話、ラジオ等を携行し、津波注意報・津波警報の発表や地震を感じたときは、釣り等を速やかに止め、浜や磯から離れ高台や沖合いに避難してください。また、海岸や港で入口が広く奥が狭いような地形の所では、津波の高さが30mに及ぶ場合もありますので、十分注意してください。

海釣り、サーフインなど浜辺にいる場合の避難方法

次のような変化があり、いつもの海と異なるときは、直ちに高台へ避難してください。

  • 速く大きな引き潮や、著しい潮位の低下がみられるとき。
  • 急に海藻が揺れ始めたり、倒れたり、流れや渦流が突発的に生じたり、底砂が舞うとき。
  • 沖に怪光を見たり、大砲か遠雷のような怪音が生じたりするとき。
  • 海水が濁ったり、黒ずんだりして壁のような高波が沖に見えどんどん近づいてくるとき。

船に乗っている場合の避難方法

津波に対して、避難する余裕があるとき、一般的には、直ちに水深が深く広い海域に退避する。例えば、沖合に真っ直ぐに1~3海里以上、水深25~100m以上の広い海域に避難してください。また、小型船などは高台に引き揚げ固縛するなど流出防止に努め、直ちに高台に避難してください。

次のようなときは、地震による津波の可能性があるので直ちに避難してください。

  • 沿岸海域で風波とは異なる船底を突き上げるような振動、又は押し上げるような感じ、あるいは地割れのような水中音を感じたとき。
  • 沖に怪光を見たり、大砲や遠雷のような怪音を聞いたとき。
  • 海藻が急に揺れ始め、一斉に横倒しになり、また底砂が舞ったとき。